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終身サポート事業者への遺贈・寄附の確認【司法書士が解説】

終身サポート事業者への遺贈・寄附の確認(司法書士 岩田剛知の写真付きアイキャッチ)

監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

ページ更新日:2026年10月12日 一般的な手続きの解説であり、個別の事情によって必要な対応は異なります。

身元保証や死後事務を頼む契約で、残った財産も事業者へ渡すよう勧められました。サービスを受ける費用と、財産を寄附・遺贈することは分けて考える必要があります。

本人の自由な意思か、寄附しなければ契約できない条件になっていないかを確認します。国のガイドラインをもとに、署名前に見ておきたい書面と相談の順番を整理します。

この記事のポイント

  • サービスの対価と寄附・遺贈を分けます
  • 支援契約の条件として財産を渡す扱いを確認します
  • 残金の返還先と本人が見直せる仕組みを確認します

寄附や遺贈の条項が分かりにくい場合は、司法書士法に定められた業務範囲で、署名前の書面から相談できます。 無料相談を申し込む

1. 結論:支援の契約と財産を渡す意思を分ける

この章でわかること 本人の自発的な選択かを確認します。

遺贈は、遺言によって財産を特定の相手へ渡すことです。寄附は財産を渡す行為で、契約の内容を確認します。本人の死亡を条件に財産を贈る契約は死因贈与と呼ばれます。名称が似ていても、成立や見直しの方法を同じには扱いません。

支援を頼む費用と、事業者へ財産を渡す意思は別に確認します。身元保証や死後事務を受けたいことが、残った財産を渡したいことまで意味するわけではありません。本人が断る選択肢を持ち、理由を理解して決められるかを見ます。

国の終身サポート事業者ガイドラインは、本人の真の意思による死因贈与や寄附を一律に不適切とはしていません。一方で、支援契約の条件や一体のプランにする扱いを避けることが重要としています。遺贈も同じく、条件にすることを避ける考え方が示されています。

ガイドラインの説明だけで、すべての契約が直ちに無効になるとも、問題がないとも決めません。具体的な条項と締結の経過を確認する必要があります。

実際に、身元保証契約と一体で結ばれた死因贈与契約が、無効とされた裁判例があります。利用者の死亡時の不動産を除く全財産を、合理的な理由なく事業者へ無償で渡す内容でした。名古屋高裁令和4年3月22日判決は、契約内容と締結過程を踏まえ、暴利行為として民法90条の公序良俗に反すると判断しました。国のガイドライン19頁にも紹介されています。すべての死因贈与契約が無効になるわけではなく、個別の内容や経緯で判断されます。

参考:終身サポート事業者ガイドライン・死因贈与、寄附、遺贈

2. 報酬・実費・預託金・寄附を別々に確認する

この章でわかること 一つの総額だけで判断しません。

項目 確認すること
報酬 どの仕事の対価か
実費 誰へ何のために支払う費用か
預託金 将来の支払、管理方法、残金返還
寄附・遺贈・死因贈与 本人が何を誰へ渡す意思か

契約時の支払を見て、どれが仕事の対価で、どれが預けたお金かを分けます。支援費用を安く見せて、残金や財産全体を別の条項で取得する内容がないかも確認します。総額だけでは本人の財産への影響を判断しにくいためです。

預託金の残りを事業者へ贈る条項があるなら、返還される残金とは別の意思決定として読みます。国のガイドラインは、こうした条項を支援契約と一体にする扱いを例に挙げています。預けたことが、そのまま贈与の承諾になるとは考えません。

財産の一部を支援費用に充てるという説明も、どの仕事の費用なのかを確かめます。余った部分の行き先、追加費用が必要な条件、途中で変更する方法を分けて尋ねます。本人の生活に使う財産と、死亡後の費用も分けて確認してください。

死後事務の費用と預託金と終活の備えの費用内訳を確認し、必要な支援の見積りと財産を渡す書面を分けて見てください。

参考:終身サポート事業者ガイドライン18〜20頁

3. 事業者が支援者と受取人を兼ねる利害を考える

この章でわかること 利益相反の確認を具体化します。

利益相反とは、一方の利益を優先すると他方の利益とぶつかる関係です。生活を支援する事業者が残った財産を受け取る場合、本人のための支出と、事業者が将来受け取る財産の額が結びつくことがあります。資格や法人名だけで問題がないとは判断しません。

国のガイドラインも、この利害の関係に注意する考え方を示しています。整理するのは、支援の内容、費用の記録、本人が仕事の実施を確認する方法です。本人が体調を崩した後に、事業者だけが支出を決めて確認する状態にならないかを見ます。

遺贈先の相談をするときは、事業者だけを選択肢として示されていないか確認します。国のガイドラインで勧められているのは、ほかの遺贈先も示し、本人の自発的な選択を促す方法です。選択の過程を記録することも示されています。

家族へ財産を渡すか、別の団体へ渡すか、まだ決めないかは本人の判断です。支援の必要性と結びつけて、急いで決めるよう迫られていないかを確認します。説明を受けた資料は持ち帰り、サービスの契約とは別に読む時間を作ります。

事業者全体の確認は身元保証サービスを選ぶ際の説明で扱います。ここでは財産を受け取る相手が支援者でもあるという関係に絞って確認します。

参考:同ガイドライン18〜20頁・利益相反と選択

サービスの条件と、財産を渡す意思を分けて確認したい方は、 終活サポートの相談内容を確認する

4. 遺言・死因贈与・支援契約の見直しを分ける

この章でわかること 解約と財産の行き先は同じではありません。

支援契約を解約すれば遺言の指定も消える、とは考えません。遺言書と契約書は別の書面です。支援者との関係をやめるときも、遺贈先や死因贈与契約をどうするかを個別に確認します。

遺言の撤回や作り直しは、民法の定める方式に従って整理します。本人が希望を変えた場合は、遺言の書き直しと撤回を確認してください。旧遺言が残っている場合も、後の書面との関係を確認します。

死因贈与は、原則として本人が生前に撤回できるとされています。ただし、財産を受け取る相手に契約で義務を課す、負担付死因贈与には例外があります。相手がその義務の全部、またはそれに近い程度を果たした場合です。

そのときは、撤回がやむを得ないと認められる特段の事情がなければ、撤回できないとされています。通常の有償サービスを受けたことだけで、この例外に当たるとは決めません。贈与の条件と実施済みの仕事を分け、契約内容と経過を確認します。

参考:消費者庁:高齢者等終身サポート事業者ガイドライン

契約済みの場合、保管する資料は署名日、説明資料、支払記録、勧められた経過のメモなどです。本人が何を理解していたかも、推測を事実と混ぜずに記録します。無効や返還の判断に争いがある場合は、当事務所が窓口となり、提携する弁護士をご紹介します。

契約内容の確認や手続きに関する相談は、司法書士法に定められた業務範囲で対応します。契約全般の有効性についての法的判断や、返還請求・交渉など業務範囲を超える事項は、弁護士への相談をご案内します。裁判所へ提出する書類の作成と、交渉・裁判の代理も区別します。

仕事の解約と、財産を渡す書面の見直しを別々に進めます。本人が理解できるうちに確認することが、将来の行き違いへの備えになります。

参考:同ガイドライン19頁・死因贈与の撤回と例外

5. 署名前に第三者へ見せる資料をそろえる

この章でわかること 契約書だけでなく説明の経過を残します。

1. 支援内容と費用の書面を分ける

2. 財産を渡す条項と残金の扱いを読む

3. 断った場合のサービス条件を確認

4. 本人の希望と説明の記録を整理

5. 利害のない立場から確認する

サービスの契約書、重要事項説明書、遺言の案、贈与の書面があれば、一緒に確認します。口頭の説明と書面の条項が一致するかも、確認する内容です。書面の一部だけを切り出すと、費用と財産の関係を見落とすことがあります。

寄附や遺贈を断ると支援を受けられないのかを尋ね、回答を記録します。担当者の説明だけでなく、契約条項がどうなっているかを確かめます。本人の生活を支える仕事と、財産の行き先の決定が分けられているかが重要です。

国のガイドライン20頁では、事業者が利用者から遺贈を受ける場合、公正証書遺言によることが望ましいとされています。ただし、公正証書遺言でも、それだけで利害の問題がなくなるとはいえません。本人の自由な意思と選択の経過を確かめます。遺言の形式の違いも参考になります。

確認を頼む専門家と、財産を受け取る相手との関係も確認します。例えば、司法書士自身や、その司法書士が実質的に関与する法人が受取人になる場合です。同じ司法書士に本人側の確認を頼むと、公正性の問題が生じることがあります。司法書士行為規範25条は、業務の公正を保てない事由がある事件の受任・対応を禁じています。支援者・財産の受取人・確認する専門家の立場を整理し、利害関係のない専門家への相談を検討してください。

家族に相談しづらい事情がある場合は、その事情を説明して確認先を考えます。終活サポートの案内で契約の役割を整理し、具体的な争いには提携する弁護士との連携を検討します。

参考:同ガイドライン20頁・自由な意思の確認

6. 必要な支援を財産の渡し方から切り離して選ぶ

この章でわかること 生活の支援を先に具体化します。

何を頼みたいのかを、入院時の支援、生活費の管理、死亡後の手続きに分けます。必要な仕事が決まったら、その報酬や実費を見積もる条件も確認してください。財産を渡すことを先に決めてから、支援の範囲を合わせる順番にしないようにします。

本人の生活費や医療・介護の費用は、将来変わる可能性のある支出です。残りの財産を一括で渡す条項を読むときも、今後の本人の生活に使える資金がどうなるかを考えます。資金の準備と財産の処分は、税務の判断も必要に応じて分けます。

財産をどこへ渡すかについては、相続人の範囲や遺留分なども確認する必要があります。税額計算や相続人間の交渉を、支援サービスの契約整理と同じ仕事として扱いません。当事務所が窓口となり、提携する専門家をご紹介します。

独身の方の相続人の範囲や遺言と死後事務の違いを確認し、生活の支援、仕事の費用、財産の行き先を別々に整えましょう。国のガイドラインは判断材料であり、特定の事業者の安全や契約の結果を保証するものではありません。

7. よくある質問

この章でわかること 判断に迷いやすい場面を確認します。

Q. 事業者へ遺贈することはすべて禁止ですか?

国のガイドラインは、本人の真の意思による寄附などを一律に不適切とはしていません。支援契約の条件にする扱いや利益相反の問題を分けて確認します。具体的な有効性は書面と締結の経過で判断します。

Q. 預託金が余ったら事業者へ渡すのが普通ですか?

一律のルールではありません。報酬、実費、残金の返還と、贈与の意思を区別します。残金を渡す条項がある場合は、別の財産処分として理解して選んだかを確認します。

Q. 公正証書にしてあれば確認はいりませんか?

形式が整っていることと、本人の意思や利害の問題は別です。支援契約の条件と選択の経過を確認します。遺言の見直しを希望する場合も、別に手続きを整理します。

8. まとめ

  • 支援費用と寄附・遺贈の意思を区別します。
  • 契約条件、利益相反、残金の扱いを確認します。
  • 支援契約と財産を渡す書面を別々に見直します。

判断に迷ったときは

支援契約と遺言・贈与の書面があれば、一緒に示すと、司法書士法に定められた業務範囲で必要な手続きを整理できます。契約全般の有効性の判断や業務範囲を超える交渉については、提携する弁護士をご紹介します。

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参考にした公的資料

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