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日常生活自立支援事業と成年後見の違い|対象者・できること・費用を解説

日常生活自立支援と成年後見の違い(司法書士 岩田剛知の写真付きアイキャッチ)

監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

記事更新日:2026年10月13日/制度・公表料金の最終確認日:2026年10月13日
一般的な制度の解説です。本人の判断能力や任せたい手続きによって、適した支援は異なります。

親が公共料金を払い忘れる、通帳の残高を把握できなくなる。そんな変化があると、家族だけで支え続けてよいのか、社会福祉協議会や成年後見を頼るべきか迷うことがあります。

選ぶときの手がかりは、本人が支援の契約を理解して希望を伝えられるか、何の手続きを任せたいかです。日常生活自立支援事業でも、預金の払戻しなどの限定的な代理権を定める場合があります。成年後見との違いは、代理権の有無だけでなく、その根拠と範囲にあります。

親のお金が心配なときに考える3つのこと

  • 日々の支払を助ける支援で、いまの困りごとに対応できるか
  • 実家の売却や相続に向けて、代理権や後見の手続きが必要か
  • 家族が支えられなくなる前に、どんな財産管理の準備をしておくか

制度を決める前に、親の状況から相談できます。

岩田司法書士事務所では、支払忘れや通帳管理の状況に加え、実家の売却・相続の予定も伺います。日常の援助で足りるか、後見や財産管理の準備を検討するか、必要な権限と手続きの見通しをご案内します。初回相談は60分無料です。

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1. 親に必要な支援を、支払・財産・将来の予定から考える

毎月の支払忘れは、財産管理を見直すきっかけにもなります。いま必要な援助に加え、実家を売る予定や相続手続き、家族が今後担える範囲まで考えると、選ぶ支援が見えてきます。当事務所への相談では、次のような状況から必要な手続きを検討できます。

表は横にスクロールできます。

いまの状況 検討する支援 岩田事務所への相談で分かること
公共料金や施設利用料の支払忘れが増えた 日常生活自立支援事業など、日々の支払を助ける支援 未払や通帳管理の状況から、日常の援助で足りるか、後見等を検討する必要があるか
判断能力に不安があり、実家の売却や遺産分割が必要 法定後見の必要性や、既存の契約に基づく代理権 取引に必要な代理権・許可と、後見開始等の申立書類や登記の準備
現在は契約を十分理解できるが、将来の財産管理を準備したい 任意後見・財産管理委任などの生前対策 誰に何を任せるか、いつから支援を受けるか、契約で備える範囲

本人ができることを残し、希望する生活と手続きに合う支援を選びます。「まだ後見までは必要ないのでは」と迷う段階でも構いません。制度名を決めてからではなく、困っている場面からご相談いただけます。

日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分でも、この事業の契約内容を判断できる能力がある方を対象としています。誰に何を頼むか、費用はいくらか、利用をやめられるかなどの説明を受け、本人が利用の意思を示せるかが重要です。

認知症の診断名や障害者手帳の有無だけで利用を決めるものではありません。家族が希望するだけで一律に契約できる制度でもありません。足腰が弱く銀行へ行けない場合も、身体の不自由さだけで対象になるとは限らず、銀行の手続きやほかの生活支援を検討します。

出典:厚生労働省「日常生活自立支援事業」対象者・援助内容

2. 対象者・代理権・開始手続きの違い

日常生活自立支援事業は本人との利用契約と支援計画に基づきます。成年後見制度には、家庭裁判所の審判による法定後見と、本人が事前に備える任意後見があります。

表は横にスクロールできます。成年後見の欄は、制度の種類ごとにお読みください。

項目 日常生活自立支援事業 成年後見制度
対象者 判断能力が不十分で、事業の契約内容を判断できる方 法定後見:判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助。任意後見:契約時に内容を十分理解できる方が将来に備える
開始手続き 社協等への相談、本人の意思・契約の理解の確認、支援計画の作成、利用契約 法定後見:家庭裁判所への申立て・審判。任意後見:公正証書による契約を結び、判断能力低下後に任意後見監督人が選任されると効力が生じる
代理権 利用契約で、指定口座の払戻し・振込・支払手続き等に限定した代理権を定める場合がある 後見:財産に関する広い代理権
保佐・補助:家庭裁判所が付与した特定の行為についての代理権
任意後見:契約で定めた範囲の代理権(効力発生後)
主な支援 福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かり 権限に応じた財産管理や、介護・施設利用等の契約手続き
本人の判断能力が変わったとき 社協の専門員へ連絡し、支援計画や他制度の利用を検討 支援者や家庭裁判所への相談を通じて、制度・権限に応じた対応を検討

日常生活自立支援事業の代理権は、必要な場合に契約で設定するものです。社協と契約すれば財産全体を自由に動かせる、という意味ではありません。実際に頼む口座と手続きは、契約書・支援計画の記載が手がかりになります。

法定後見も、支援者全員に同じ代理権があるわけではありません。後見は判断能力を欠くのが通常の状態にある方、保佐は著しく不十分な方、補助は不十分な方が対象です。保佐人・補助人が代わりに契約するには、その行為についての代理権付与が必要です。本人以外の申立てによる代理権付与には、本人の同意を要します。補助の開始も、本人以外が申し立てる場合は本人の同意が必要です。

任意後見は、契約を結んだだけでは始まりません。公正証書で支援する相手と任せる事務を定め、判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると効力が生じます。将来の備えを比べる際は、家族信託と任意後見の支援範囲の違いも参考になります。

出典:厚生労働省掲載・全国社会福祉協議会「日常生活自立支援事業の概要と支援の現状」6・16頁/法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」

制度改正について:2026年10月13日時点の現行制度に基づく説明です。後見・保佐を補助に一元化する改正法は、2026年6月17日に成立し、6月24日に公布されました。成年後見の見直し部分は本記事の確認時点で施行前で、施行日は公布から2年6か月以内の政令で定める日です。法務省の改正案内をご参照ください。

3. 日常生活自立支援事業で頼めること

中心となるのは、福祉サービスを選び、利用するための援助です。利用開始や終了の手続き、苦情解決制度の利用などを支えます。お金だけを預けるサービスではなく、本人が地域で暮らし続けるための支援です。

島根県社協の案内では、追加の支援として、日常的金銭管理と書類等の預かりが示されています。金銭管理には、公共料金・家賃・医療費・福祉サービス利用料等の支払手続き、生活費の定期的なお渡し、それに伴う預金の払戻しや預入れなどがあります。

例えば、請求書の期限が分からず未払が続く場合には、どの支払を、どの頻度で援助するかを支援計画に定めます。本人への助言や同行で足りるのか、限定的な代理が必要なのかも、本人の状態と契約内容によります。

預かり対象として案内されているのは、通帳、年金証書、権利書、契約書類、保険証書、実印・銀行印などです。預かる書類や保管方法は利用する社協と決めます。権利書を預けることが、不動産を売る権限まで渡すことにはなりません。

家族がすでに通帳を管理している場合は、支払先・金額・残高が分かる記録を残しておくと、引継ぎの材料になります。親の通帳を管理するときの記録方法で、家族のお金と混ぜないための方法を説明しています。

出典:島根県社会福祉協議会「日常生活自立支援事業」サービス内容

日々の支払の援助で、この先も対応できそうですか?

不動産の売却や相続の予定がある方、家族の通帳管理をいつまで続けられるか心配な方は、その予定も含めてご相談ください。社協の支援と、後見・財産管理の契約が担う範囲を比べ、次に必要な手続きをご案内します。

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4. 実家の売却や遺産分割には別の権限が必要

日常生活自立支援事業の利用契約だけで、不動産売却や遺産分割を広く代理できるわけではありません。日々の支払のための代理権が、そのまま大きな財産の処分へ広がることはないためです。

本人が売却や遺産分割の内容を理解して意思表示できるなら、本人が手続きを行う方法や、適切な委任を検討できます。不動産を売るという理由だけで、一律に成年後見が必要になるわけではありません。判断能力が不十分な場合には、既存の任意後見契約の有無や、法定後見の必要性を検討します。

成年後見人がいれば、本人の家を自由に売れるわけではありません。成年後見人が本人に代わって居住用不動産を売却等するには、家庭裁判所の事前の許可が必要です。保佐人・補助人の場合は、その処分についての代理権が付与されていることに加え、同じ許可が必要になります。

居住用不動産には、現在住んでいる家だけでなく、施設入所前に住んでいた家や将来住む予定の家が含まれる場合があります。この許可の説明は、法定後見の成年後見人・保佐人・補助人についてのものです。任意後見人の売却は、契約上の代理権と本人の意思・利益を踏まえて別に検討します。

相続の協議については、相続人の判断能力に不安があるときの遺産分割もご覧ください。本人と後見人がともに相続人であるなど、利益が対立する場合には、代理権のほかに利益相反への対応が必要です。

利用中に本人が支払内容を理解できなくなったり、希望を伝えにくくなったりしたら、まず社協の専門員へ変化を伝えます。支援計画を見直し、必要に応じて後見の手続きを相談するなど、支払が途切れない引継ぎを考えます。

出典:裁判所「家事事件Q&A」居住用不動産の処分・利益相反/厚生労働省「日常生活自立支援事業の実施について」

5. 岩田事務所への相談で、必要な支援と手続きの見通しをつける

日常生活自立支援事業か成年後見かを、ご家族だけで決める必要はありません。岩田司法書士事務所では、本人の生活・財産・支援の状況を伺い、司法書士法に定める業務範囲で、次のような相談に対応します。

  • 支払忘れ・通帳管理:未払や家族の援助の状況から、後見を検討するための情報を整理します
  • 実家の売却・相続手続き:本人の意思、代理権、家庭裁判所の許可の要否を調べ、登記等に向けた手続きをご案内します
  • 後見開始等の準備:申立書類の作成について、必要な資料と手続きの進め方をご説明します
  • 将来の財産管理:任意後見や財産管理委任で、誰に何を任せるかを検討します

相談の際は、「支払忘れが増えた」「家族が通帳を預かっている」「実家の売却を考えている」といったお話からで構いません。手元にある請求書や契約書、家族が援助している内容のメモが、状況を伝える材料になります。任意後見等の準備は生前対策の案内、見守りや財産管理の契約は終活サポートの案内もご覧ください。

法定後見の種類や支援者を決めるのは家庭裁判所です。相談や書類作成を依頼すれば、希望する人がそのまま後見人に選ばれるというものではありません。相続人間の争い・代理交渉が必要な場合は、当事務所が窓口となり、提携する弁護士をご紹介します。

日常生活自立支援事業の利用を希望する場合

この事業の利用相談は、お住まいの市町村の社会福祉協議会が窓口です。当事務所が事業を提供するものではなく、社協へ直接相談することもできます。島根県内の窓口は、島根県社協の市町村窓口一覧に掲載されています。

社協への相談後は、本人の生活状況や希望、契約内容を判断できるかを確かめ、支援計画を作り契約します。家族から相談を始めることはできますが、利用には本人の意思と契約の理解が必要です。頼む支払・訪問の頻度・費用・開始時期は、社協の案内に沿って確かめてください。

6. 島根県の利用料金と成年後見の費用

島根県の日常生活自立支援事業の公表料金

島根県社会福祉協議会が2026年10月13日時点で公表している料金は、次のとおりです。利用するサービス、時間、訪問回数を合わせて見通しを立てます。

項目 公表料金・取扱い
相談・支援計画の作成 無料
福祉サービス利用援助・日常的金銭管理 1時間あたり1,400円
1時間を超える場合 30分ごとに700円加算
生活支援員の交通費 実費
書類等の預かり 標準月額200円程度
貸金庫を利用する場合 実費を負担
生活保護受給者 福祉サービス利用援助・日常的金銭管理の利用料と交通費は原則免除

出典・確認日:島根県社会福祉協議会「日常生活自立支援事業」サービスの利用料(2026年10月13日確認)。

生活保護の免除は、上記の援助・金銭管理の利用料と交通費についての案内です。書類預かりや貸金庫まで一律に無料とは表示されていません。個別の取扱いは利用する社協へお尋ねください。料金や書類の保管範囲は地域によって異なり、この表は鳥取県などの料金ではありません。

成年後見は開始前と開始後の費用を分ける

法定後見の申立てでは、申立手数料、登記手数料、郵便料、戸籍等の取得費、診断書の費用などがかかります。鑑定が必要な場合は、その費用も別に必要です。司法書士に申立書類作成を依頼する場合の報酬は、これらの実費と区別します。

開始後の成年後見人・保佐人・補助人や監督人の報酬は、家庭裁判所の報酬付与の審判により決まります。財産や事務の内容等で異なるため、一律の月額で比較することはできません。

任意後見は、公正証書の作成・登記など契約時の費用と、監督人選任の申立費用を見込みます。開始後の任意後見人への報酬は契約で定め、任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決めます。任意後見監督人の報酬と開始後の費用もあわせてご覧ください。

複数の支援を組み合わせるなら、「社協が公共料金を支払う」「家族が請求書を保管する」など、担当を決めて共有します。同じ支払を二重に行わないこと、家族が入院したときも支払が止まらないことが大切です。見守り・財産管理委任契約の役割と比べ、契約の変更や終了時の引継ぎまで考えます。

出典:裁判所「後見開始」必要な費用/裁判所「報酬の付与」

7. よくある質問

Q. 日常生活自立支援事業には代理権がないのですか?

利用契約で、預金の払戻し・振込・支払手続きなどの限定的な代理権を定める場合があります。成年後見との違いは、権限の根拠と範囲です。この事業の契約だけで、不動産売却や遺産分割を広く代理できるわけではありません。

Q. 認知症の診断がなくても相談できますか?

相談できます。診断名だけで利用を決めず、日常生活の判断の状況と、事業の契約内容を判断できるかを社協が確かめます。公共料金の支払忘れなど、具体的な困りごとをお伝えください。

Q. 後見人がいれば、親の家をすぐ売れますか?

法定後見の成年後見人が本人に代わって居住用不動産を売るには、家庭裁判所の事前の許可が必要です。保佐人・補助人は、売却についての代理権も必要です。本人が取引を理解して手続きできる場合まで、一律に後見を利用するわけではありません。

Q. 後見を始めたら社協の支援は不要になりますか?

自動的に不要になるとは限りません。本人への訪問や生活費のお渡しなど、生活上の援助が必要な場合もあります。利用中の社協と後見人等で、契約の扱い・代理権・支払の担当を相談します。

8. まとめ

  • 日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分でも事業の契約を判断できる方が対象です。
  • 限定的な代理権を定める場合があり、成年後見とは権限の根拠と範囲が異なります。
  • 制度選びに迷うときは、親の生活・財産・今後の予定をもとに、当事務所で必要な手続きを検討できます。

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「社協の支援で足りるのか」「後見を考えた方がよいのか」。決められないままでも、ご相談いただけます。岩田司法書士事務所では、いま困っている支払や通帳管理と、実家の売却・相続・将来の備えを一緒に伺います。相談を通じて、必要な権限、用意する資料、検討する契約や申立手続きの見通しをつけていきます。医師による判断能力の評価や、家庭裁判所の判断に代わるものではありません。

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