トップお役立ちコラム > 相続

相続人に未成年者がいる場合|特別代理人の申立てを解説【司法書士が解説】

この記事の監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

最終更新日:2026年9月10日 ※本記事は更新日現在の法令・実務に基づき内容を確認しています。

相続人の中に未成年者がいると、親がその子に代わって手続きをします。

書類の順序を確認しながら、落ち着いて進めます。

ただし、親自身も相続人なら、親と子の利益がぶつかることがあります。

その場面で必要になるのが、子のための特別代理人です。

この記事のポイント

  • 親権者と未成年の子が共同相続人で、遺産分割協議をするなら、特別代理人が必要になる典型例です
  • 同じ親権に服する未成年の子が複数いるときも、子どうしの利益相反を確認します
  • 申立先は子の住所地の家庭裁判所です。費用と添付書類は裁判所ごとに確認します

迷ったときは、相続の状況を整理するところからご相談ください。→ 相続の相談内容を見る

1. 結論:利益相反があれば未成年の子に特別代理人を付ける

この章でわかること 特別代理人が必要になる基本場面と制度の役割

親権者は、通常は子の財産に関する法律行為を子に代わって行います。

しかし、親権者と子の利益が反する行為では、親が子を代理できません。

民法826条1項は、その場合に特別代理人を選ぶよう定めています。

民法第826条第1項

親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

出典:e-Gov法令検索「民法」第826条

典型例は、亡くなった方の配偶者と未成年の子が共同相続人になる場合です。

親が自分の取り分を増やせば、子の取り分は減る関係になります。

このような遺産分割協議では、子の代理人を別に選ぶ必要があります。

特別代理人は、子の利益を守るために、その手続きだけを代理します。

家庭裁判所が選任するため、親が自分で就任を決める制度ではありません。

場面 確認の方向
親権者と子が共同相続人 遺産分割協議をするなら利益相反を確認
親権者は相続人でない 親と子の利害がぶつかる事情があるか確認
遺言で分け方が決まっている 遺産分割協議が必要かを確認
法定相続分どおりに登記する 特別代理人が必要かは手続きの内容ごとに確認

親子が共同相続人なら、いつでも特別代理人が必要という意味ではありません。

法定相続分どおりの登記だけで足りる場合などは、事情の確認が必要です。

遺言により遺産分割協議が不要なら、同じ結論にならないこともあります。

「未成年者がいるから必要」と決めず、誰がどの行為をするかで判断します。

2. 特別代理人が必要かを見分ける方法

この章でわかること 相続関係と手続きの内容から利益相反を確認する順番

最初に、相続人を戸籍で確定させます。

次に、未成年者の親権者が誰かを確認します。

その親権者自身が相続人か、遺産分割協議に参加するかを見ます。

特別代理人の要否を確認する順番相続人を戸籍で確認未成年者の親権者を確認親権者も相続人か確認利益相反と手続きを確認迷うときは協議書案を作る前に確認する
特別代理人が必要かは、未成年者がいることだけでなく、親権者との利害関係と行う手続きを順番に確認します。

利益相反になりやすい場面

親権者と子が同じ相続人で、遺産分割協議をする場面です。

親が多く取得する協議書案なら、子の不利益が明確になります。

親が取得しない内容でも、親と子の立場が同じとは限りません。

協議書案全体を見て、子の利益が守られているかを確認します。

必要か判断しにくい場面

親権者が相続人でない場合でも、契約の相手方になるときがあります。

相続放棄や不動産の売却など、行為の内容で判断が変わります。

遺言で財産の分け方が指定されていても、登記や管理の場面が残ることがあります。

法定相続分どおりの登記だけなら、遺産分割協議とは場面が異なります。

ここは一律に断定せず、登記の方法と書類を見て確認します。

遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停も選択肢です。

特別代理人は、相続人どうしの争いを解決する代理人ではありません。

交渉や訴訟が必要な事情があれば、弁護士への相談が必要です。

遺産分割協議書案は、未成年者の取得内容が分かるように作成します。

3. 未成年の子が複数いる場合の考え方

この章でわかること 子ども同士の利益相反と、代理人の分け方

未成年の子が2人以上いるとき、親が全員を代理できるとは限りません。

同じ親権者の子が共同相続人として遺産分割協議をするなら、子同士は利益相反になります。

利益相反は、取得額の差だけでなく、遺産分割という行為の外形から判断します。

民法826条2項も、同じ親権に服する子の間の利益相反を定めています。

民法第826条第2項

親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、

その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

出典:e-Gov法令検索「民法」第826条

例えば、長男が不動産を取得し、次男が預金を取得する内容です。

それぞれの価値が同じとは限らず、子の利益を別々に確認する必要があります。

家庭裁判所は、申立ての内容をもとに特別代理人を選任します。

子どもの人数に応じて、申立書の記載や費用も確認しましょう。

関係 確認すること
親権者と子 親権者も相続人か、協議に参加するか
子ども同士 同じ親権者の子が共同相続人として遺産分割協議をするか
子が3人以上 誰が誰を代理するかを申立書案で整理

同じ親権者の未成年の子が複数の共同相続人として遺産分割協議をする場合、子同士は利益相反になります。

親権者が共同相続人でなければ、親権者が一人の子を代理し、他の子のために特別代理人を申し立てます。

親権者自身も共同相続人なら、原則として各子に別の特別代理人が必要です。

子どもの一人が成年に達している場合は、成年者本人が協議に参加します。

家族関係が複雑なときは、関係図を作ってから申立てを検討すると整理しやすくなります。

4. 候補者と遺産分割協議書案を準備する

この章でわかること 申立て前に作る資料と候補者の考え方

特別代理人の候補者は、申立書に記載して家庭裁判所へ伝えます。

法律上、特別な資格が必要とされる制度ではなく、親族を候補者にすることもできます。

ただし、候補者を誰にするか、裁判所がそのまま選ぶとは限りません。

関係者との利害関係や手続きへの関わりを含め、裁判所が判断します。

候補者を考えるときは、未成年者と利益がぶつからない人かを確認します。

遺産分割協議書案に書く内容

家庭裁判所は、特別代理人が何を代理するかを確認します。

そのため、完成前の遺産分割協議書案を資料として添付します。

不動産の表示、預金、株式などの財産を具体的に書きます。

誰が何を取得するか、未成年者が何を取得するかを明確にします。

法定相続分との関係も確認できるよう、財産の評価資料をそろえます。

法定相続分どおりの内容でも、親権者と子が共同相続人として遺産分割協議をする場合は、特別代理人が必要です。

協議をせず、法定相続分による登記だけをする場面とは区別します。

法定相続分と違う内容だから、直ちに認められないとも言い切れません。

子の生活や財産の状況をふまえた協議の理由が、資料から分かるようにします。

協議書案を先に決めてから、特別代理人の申立てを考えると手戻りを減らせます。

裁判所の記載例には、遺産分割協議書案などの利益相反資料が示されています。

申立て後に、裁判所から追加資料や事情の確認を求められることもあります。

申立書に書いた内容と、協議書案の内容が食い違わないよう注意します。

申立て前の確認メモ

  • 相続人と親権者を戸籍で確認したか
  • 未成年者ごとの取得財産を整理したか
  • 候補者と未成年者の利害関係を確認したか
  • 遺産分割協議書案と財産資料を用意したか

5. 家庭裁判所への申立て、費用、必要書類

この章でわかること 申立先、費用、標準的な添付書類

申立先は、未成年者の住所地を担当する家庭裁判所です。

親権者または利害関係人が申し立てます。

裁判所の公式案内では、申立人と申立先をこのように示しています。

申立書は、裁判所の書式と記載例を使って作成します。

裁判所「特別代理人選任の申立書・記載例」には、遺産分割協議の場合の書式があります。

項目 内容
申立先 子の住所地の家庭裁判所
収入印紙 子1人につき800円
郵便料 裁判所ごとに異なる
標準的書類 申立書、戸籍、候補者の住民票または戸籍附票、利益相反資料

収入印紙は、裁判所の全国案内で子1人につき800円とされています。

郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先で確認します。

松江家庭裁判所本庁・管内支部の令和8年4月1日からの一覧では、この手続きは郵便切手110円10枚、合計1,100円です。

郵便料を現金または電子納付する場合の予納金も1,100円とされています。

支部や取扱いが変わることもあるため、提出前に最新の一覧を確認します。

出典:松江家庭裁判所「郵便切手及び予納金一覧」令和8年4月1日から

標準的な添付書類

  1. 特別代理人選任申立書
  2. 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  3. 親権者または未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  4. 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
  5. 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)
  6. 利害関係人から申し立てる場合の利害関係資料

同じ書類は1通で足りると裁判所は案内しています。

申立て前に戸籍を取れない事情があれば、申立て後に追加提出できる場合があります。

審理のため、追加書類の提出を求められることもあります。

提出先の家庭裁判所に、必要な部数と最新書式を確認してください。

司法書士は、裁判所へ提出する書類の作成と相談を業務として行えます。

日本司法書士会連合会も、裁判所提出書類の作成を業務の一つとして案内しています。

ただし、特別代理人を選ぶのは家庭裁判所です。

出典:日本司法書士会連合会「司法書士の業務」

書類の順番に迷うときは

相続関係と財産を整理し、家庭裁判所へ出す申立書の作成をお手伝いします。→ 相続登記・遺産分割の相談を見る

申立てから登記までの実務チェック

最初に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認します。

相続人が確定しないまま協議書案を作ると、作り直しになることがあります。

未成年者の戸籍では、親子関係と現在の氏名を確認します。

親権者の戸籍も、親権者が誰かを確認するために使います。

次に、預金や不動産などの財産を一覧にします。

不動産は、登記事項証明書と固定資産評価証明書で表示を確認します。

預金は、金融機関名と支店名、残高を資料で確認します。

財産の全体像が分からないと、子の取得内容を評価できません。

協議書案では、財産の表示を登記記録や通帳の記載に合わせます。

「一切の財産」のような書き方だけで足りるかは、手続きごとに確認します。

不動産を子が取得する場合は、住所や地番の取り違えに注意します。

預金を子が取得する場合は、口座の特定方法を確認します。

申立書には、利益相反する人と行為の内容を記載します。

遺産分割協議が目的なら、誰の相続で、どの財産を分けるかを説明します。

候補者の住所や氏名は、住民票などの公的資料と一致させます。

候補者が協議の内容に関与している場合は、利害関係を慎重に確認します。

家庭裁判所から照会書が届いた場合は、期限と質問を確認して回答します。

裁判所が追加資料を求めたときは、理由を確認して提出します。

審判書を受け取ったら、対象となる未成年者と行為の範囲を確認します。

別の財産や別の協議を、その審判書だけで進められるとは限りません。

特別代理人の選任は、子のための代理人を決める手続きです。

相続人全員の意見をまとめる手続きや、遺産の価値を確定する手続きではありません。

協議の内容に争いがある場合は、別の紛争解決手続きが必要になります。

司法書士が行えるのは、確認できた範囲での書類作成と登記手続きの支援です。

手続きの全体像

  1. 戸籍で相続人と親権者を確定する
  2. 遺産と取得内容を一覧にする
  3. 遺産分割協議書案と候補者を準備する
  4. 子の住所地の家庭裁判所へ申し立てる
  5. 選任後に特別代理人が協議へ参加する
  6. 協議書と審判書を使って相続登記を申請する

この順番で進めると、裁判所への申立てと法務局への登記が分断されません。

家庭裁判所の審判書が必要になる登記もあるため、原本の扱いを確認します。

提出した書類の返却方法や、コピーの可否も窓口で確認しておくと安心です。

相続登記の申請時期については、相続の開始時期や遺産分割の成立日などを確認します。

未成年者が成人した後に協議する場合は、本人が参加できる可能性があります。

ただし、相続開始時点の代理関係や、すでに行った行為の確認が必要です。

年齢だけで過去の手続きが自動的にやり直しになると決めることはできません。

協議書への署名時点と相続開始時点を、戸籍と審判書で確認します。

親権者が離婚している場合は、誰が親権者かを戸籍で確認します。

親権者が変更されている場合は、変更時期も確認します。

未成年後見人が選ばれている場合は、親権者の場合と扱いが異なります。

裁判所の公式案内でも、未成年後見人と未成年者の利益相反に触れています。

相続関係説明図を作ると、親権者と未成年者の位置が分かりやすくなります。

家族関係図だけでなく、相続財産の一覧も一緒に作ります。

財産の一覧には、評価額を断定せず、確認日と資料名を付けます。

税金の計算が必要な場合は、税理士への相談も検討します。

6. 選任後の遺産分割から相続登記まで

この章でわかること 選任後に行う協議、協議書、登記の流れ

家庭裁判所が特別代理人を選任すると、選任審判書などが交付されます。

その内容を確認して、特別代理人が子を代理して遺産分割協議に参加します。

親権者は、特別代理人に代わって子の協議を決めることはできません。

協議書では、親権者は自身の相続人として署名押印します。

特別代理人は、未成年者の代理人として、その子のために署名押印します。

協議が終わったら、不動産を取得する相続人名義へ相続登記を申請します。

登記には、遺産分割協議書、印鑑証明書、戸籍、選任審判書などが必要になります。

必要書類は不動産や相続関係で変わるため、法務局または依頼する専門家に確認します。

相続登記の費用や登録免許税は、相続登記の費用相場も参考になります。

相続放棄をする場合にも、親と子の利益相反が問題になることがあります。

手続きは遺産分割協議とは別になるため、家庭裁判所へ確認する内容を分けて整理します。

相続登記の申請を依頼する場合、当事務所の相続登記は88,000円(税込)からです。

これは登記手続きの料金であり、特別代理人選任申立ての固有料金を示すものではありません。

申立てに必要な費用や書類作成の範囲は、個別に確認してご案内します。

選任審判書を受け取った後は、記載された未成年者と行為の範囲を確認します。

別の財産や別の契約を同じ審判書で進められるとは限りません。

協議書の内容が変わった場合は、家庭裁判所への確認が必要になることがあります。

7. よくある質問

この章でわかること 特別代理人の要否、候補者、費用に関する疑問

Q. 未成年の子が相続人なら、特別代理人が必要ですか

A. 一律には必要ではありません。親権者との利益相反がある行為をする場合に問題になります。親権者が相続人か、遺産分割協議をするか、法定相続分どおりの登記かなどを確認します。

Q. 親権者が相続人でなければ、特別代理人はいりませんか

A. 事情によります。親権者が契約の相手方になるなど、別の利益相反が生じることがあります。相続人の関係と手続きの内容を見て確認してください。

Q. 特別代理人の候補者は親族でもよいですか

A. 法律上、特別な資格は必要とされておらず、親族を候補者にすることもできます。ただし、未成年者との利害関係などから家庭裁判所が判断し、候補者どおりに選ばれるとは限りません。

Q. 未成年の子が2人なら、特別代理人も2人必要ですか

A. 同じ親権者の子が共同相続人として遺産分割協議をする場合、子同士は利益相反です。親権者が共同相続人でなければ、親権者が一人の子を代理し、他の子のために特別代理人を申し立てます。親権者自身も共同相続人なら、原則として各子に別の特別代理人が必要です。

Q. 特別代理人の申立てを司法書士に頼めますか

A. 司法書士は裁判所提出書類の作成と相談を行えます。申立てをする方の事情を聞き、戸籍や協議書案を整理します。選任の判断は家庭裁判所が行います。

Q. 申立てはどのタイミングでするとよいですか

A. 遺産分割協議書案が見えてきた段階で、早めに必要性を確認します。協議書案がないままでは、家庭裁判所が判断する材料が足りないことがあります。提出時期の目安は、裁判所の混雑などでも変わるため、公式な期間として断定しません。

Q. 特別代理人が決まるまで、遺産分割協議をしてもよいですか

A. 未成年者を含む協議書を先に確定させることは避け、候補案として整理します。特別代理人が選任された後に、その代理人が内容を確認して協議に参加します。

Q. 未成年者の取り分は法定相続分どおりですか

A. 法定相続分は大切な基準ですが、個別の事情を見ずに決められるものではありません。法定相続分どおりでも、遺産分割協議をするなら特別代理人が必要になることがあります。協議をせず、法定相続分による登記だけをする場面とは区別します。

8. まとめ

相続で未成年者がいるときは、まず相続人と親権者を確認します。

親権者と子、または子ども同士に利益相反があれば、特別代理人を検討します。

申立先は子の住所地の家庭裁判所で、収入印紙は子1人につき800円です。

松江家庭裁判所の郵便料は、令和8年4月1日以降の案内を確認します。

選任後は、特別代理人が子を代理して遺産分割協議に参加します。

協議が終わったら、相続登記まで書類のつながりを確認します。

判断が難しいときは、遺産分割協議書案を作る前にご相談ください。

準備中の書類だけでも、状況整理から始められます。→ 相続の無料相談を確認する

関連記事

あわせて読みたい記事

記事の一覧へ戻る

その「どうしよう」、無料相談で道筋が見えます

「これは司法書士に頼める内容だろうか」——その段階で構いません。初回60分は無料。その場で、必要な手続き・費用の概算・完了までの流れをお伝えします。ご依頼を無理におすすめすることはありません。お電話・フォーム・LINE、ご都合のよい方法でどうぞ。※2回目以降のご相談は30分5,500円(税込)です。

0852-28-0336受付|平日 9:00〜18:00 初回相談 60分無料
お問い合わせする LINEで相談を申し込む
お問い合わせ LINEで相談