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遺言書の有無を公証役場と法務局で調べる【司法書士が解説】

遺言書の有無を公証役場と法務局で調べる(司法書士 岩田剛知の写真付きアイキャッチ)

監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

ページ更新日:2026年10月22日 一般的な手続きの解説であり、個別の事情によって必要な対応は異なります。

親が亡くなり、遺言を書いていたか分からないことがあります。見つからないまま遺産を分ける前に、確認する場所を整理しましょう。

公正証書遺言と、法務局へ預けた自筆証書遺言は、調べる窓口が異なります。どちらにも記録がない場合でも、自宅などに別の遺言がある可能性は残ります。

有無を調べる手続きと、内容を見る手続きを分けて説明します。原本を見つけたときの扱いと、調べた結果の残し方まで確認します。

この記事のポイント

  • 自宅・公証役場・法務局を分けて確認します
  • 保管事実と遺言の内容は別の証明書です
  • 該当なしでも他の遺言の可能性を確認します

「遺言が見つからない」「どの窓口へ何を請求するか分からない」という段階からご相談いただけます。調べた場所と手元の資料から、次の確認先を整理します。

遺言の探し方と確認先を相談する

1. 遺言を探す窓口は、作成と保管の方法で違います

この章でわかること 一つの窓口で、すべての遺言の有無は分かりません。

遺言書を探すとは、残された遺言の存在と、使える内容を確認する作業です。公証役場で作成した公正証書遺言、法務局へ預けた自筆証書遺言、自宅などで保管した遺言を分けて考えます。保管した場所だけで、有効性まで分かるわけではありません。

種類 主な確認先 結果が分かる範囲
公正証書遺言 公証役場 公正証書遺言の検索と証書等の確認
法務局保管の自筆証書遺言 遺言書保管所のある法務局 保管の有無と、関係する遺言の内容
自宅などに保管した遺言 本人の書類と保管場所の手掛かり 見つかった原本や資料の確認

法務局に保管されていないという結果だけで、遺言なしとは判断できません。公正証書や、自宅などで保管した遺言は、法務局の自筆証書保管制度の検索対象ではありません。公証役場の検索も、すべての自筆証書遺言を探す制度ではありません。

参考:法務省「相続人等の手続」遺言書保管事実証明書

最初に整理するのは、家族が聞いていた話、保管証、証書、公証役場からの資料です。「遺言を書いた」と聞いていても、方式や保管先が分からない場合があります。話を聞いたことと、原本や公的記録で確認できたことを分けて残します。

遺言がある場合の相続と協議による分割は、進め方が異なります。遺言がある場合の相続登記へ進む前に、原文と対象財産を確かめます。

2. 公正証書遺言は、公証役場で検索を相談します

この章でわかること 検索の申出と、証書の取得を分けて確認します。

公正証書遺言には、相続人等の利害関係人が、全国の公証役場で保存された遺言を検索できる仕組みがあります。法務省の遺言制度に関する資料でも、この既存の検索システムを説明しています。作成した公証役場が分からない場合も、検索の相談先は公証役場です。

参考:法務省「民法(遺言関係)部会資料10」37頁・既存の遺言検索制度

ここで確認するのは、公正証書遺言として保存された記録です。検索しただけで遺言内容の証書を受け取れると決めないでください。該当する記録がある場合は、作成した公証役場と、証書等の交付方法を確認します。

相談前には、故人の氏名、生年月日、死亡日、最後の住所、請求人と故人の関係を整理します。死亡の事実、相続人などの利害関係、本人確認を示す資料を公証役場へ確認してください。代理人を使う場合の委任や資料も、窓口の案内に従います。

古い公正証書遺言では、検索の対象期間や保存状況を確認する必要があります。検索結果が出ないから、古い作成の可能性まで否定できるとは限りません。作成時期や公証役場の手掛かりがある場合は、その情報を伝えます。

遺言者が生きている間に、家族が本人に内緒で自由に内容を調べられる制度ではありません。この記事は死亡後の相続人等による調査を扱います。本人の生前に確認したい場合は、本人の意思と窓口の手続きを別に確認します。

3. 法務局では、保管事実証明で有無を確認できます

この章でわかること 請求人の立場によって、結果の意味が変わります。

遺言書保管事実証明書は、法務局の保管制度で、関係する遺言書の保管の有無などを証明する書類です。遺言者が亡くなった後に請求します。どの遺言書保管所でも請求でき、窓口だけでなく郵送の方法もあります。

相続人である場合は、特定の遺言者の遺言が保管されているかを確認できます。相続人でない場合は、請求人を受遺者や遺言執行者等とする遺言が保管されているかを確認します。誰でも請求できるという制度と、誰でも全遺言の有無が分かるという理解は別です。

請求人が関係相続人等ではない場合は、遺言が保管されていても、自分に関係する遺言は保管されていないという結果になることがあります。故人の名前を指定して請求しただけで、すべての遺言の有無を確認したと扱わないでください。

参考:e-Gov「法務局における遺言書の保管等に関する法律」第9条・第10条

保管事実証明の結果は、請求人の立場と一緒に読みます。相続人として請求したのか、自分が受遺者等か分からず請求したのかを記録すると、結果の限界が分かります。

必要資料は、故人の死亡を証する書類、請求人の氏名と住所を確認する書類、相続人であることを示す戸籍などです。通知や過去の交付状況によって、一部を省略できる場合があります。法務省の現行一覧表と、請求先の案内を確認します。

任意の代理人による請求はできません。法定代理人の場合は、その資格を証する資料等を確認します。司法書士へ資料準備を相談することと、本人に代わって自由に請求できることは分けて考えてください。

参考:法務省「相続人等の手続」請求資格・必要書類・請求方法

「該当なし」という結果の意味が分からない場合は、請求した人の立場と証明書をお持ちください。ほかに調べる場所や、次に取得する書類を整理できます。遺言・生前対策の相談案内もご覧ください。

証明書の意味と次の確認を相談する

4. 内容を確認するには、情報証明書や閲覧を使います

この章でわかること 保管されていることと、分け方の内容を区別します。

書類 主な目的 次の作業
遺言書保管事実証明書 関係する遺言の保管の有無を確認 該当すれば内容の確認へ進む
遺言書情報証明書 関係する遺言書の内容等を証明 遺言の条項と相続手続きを確認
遺言書の閲覧 保管された遺言を見る 閲覧方法と窓口を確認

遺言書情報証明書は、相続人や受遺者、遺言執行者等の関係者が請求できます。取得には、相続関係を確認する戸籍など追加の資料が必要になる場合があります。保管事実証明書と同じ資料だけで足りるとは限りません。

情報証明書の請求とモニターによる閲覧は、全国どこの遺言書保管所でもできます。原本の閲覧は、その遺言を保管している保管所で行います。行き先を決める前に、窓口の予約や必要資料を確認してください。

法務局保管の自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。ただし、遺言が法的に有効であると保証される制度ではありません。内容の読み方や、条件、遺留分などの問題は、別に確認します。

遺言書保管法第11条
民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。

参考:e-Gov法令検索:遺言書保管法11条

参考:e-Gov「遺言書保管法」第9条・第11条

情報証明書の交付や閲覧などによって、ほかの関係相続人等へ保管の通知が行われる仕組みがあります。この通知は、遺言の有効性や全員の同意を示すものではありません。通知を受け取ったら、どの手続きから出た通知かを確認します。

手数料は、保管事実証明、情報証明、閲覧で異なります。戸籍取得や郵送などの実費も分けて確認します。費用と納付方法は、法務省の保管制度の手数料案内を参照してください。

内容が分かっても、すぐ財産を処分する前に、対象財産と遺言執行者の有無を確かめます。法定相続情報一覧図は、戸籍に基づく相続関係の書類であり、遺言内容の代わりになるものではありません。

5. 自宅で見つけた遺言は原本を保ち、調査結果を記録します

この章でわかること 封印を開けず、複数の遺言の関係も確認します。

  1. 本人の書類を確認する:保管証、証書、公証役場の手掛かりを探します。
  2. 公証役場へ検索を相談する:死亡と利害関係を証する資料を確認します。
  3. 法務局の保管事実を確認する:請求人の立場と必要資料を整理します。
  4. 内容と次の手続きを確認する:原本や情報証明書を保ち、検認と実行を分けます。

自宅などで遺言らしい書類を見つけたら、日付、署名、封筒、保管状況を確認します。封印された遺言書を開封するには、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いが必要です。封筒を家族の判断で開けず、裁判所の手続きを確認してください。見つけた場面の記録を残し、原本と封筒を一緒に保管します。

参考:e-Gov「民法」第1004条・封印された遺言書の開封

自宅の原本と公的な検索結果は、それぞれ保管して次の確認へつなげます。複数の遺言が出てきた場合も、古いものを家族の判断で捨てないでください。日付や抵触する内容によって、効力の確認が必要です。

自宅保管の遺言の検認は、検認の必要書類と流れで確認します。検認を受ければ内容が有効になるという意味ではありません。形式の問題は、遺言が無効になる書き方へつなげて確認してください。

調査メモには、確認日、窓口、請求人の資格、故人の特定情報、交付された書類、結果、残る疑問を記載します。公証役場の検索、法務局の保管事実、自宅の探索を一つの「遺言なし」の欄へまとめないでください。

遺言の内容と財産が一致しない、相手が先に亡くなっている、家族で解釈が違う場合は、登記や払戻しの前に相談します。紛争や解釈の争いについては、当事務所が窓口となり、提携する弁護士をご紹介します。

生前に家族へ保管場所を伝える準備を考えている方は、エンディングノートと遺言の違いも確認できます。ノートは探す手掛かりにできますが、それ自体で財産の分け方を法的に決められるとは限りません。

6. よくある質問

この章でわかること 判断に迷いやすい場面を確認します。

Q. 公証役場で該当なしなら、遺言はありませんか?

公正証書遺言の検索結果だけでは、自筆証書遺言の有無は分かりません。古い公正証書の作成時期や検索範囲も確認します。法務局保管と自宅等の手掛かりを別に調べてください。

Q. 相続人でなくても法務局へ有無を請求できますか?

保管事実証明書の請求はできます。ただし、相続人でない場合は、自分を受遺者等とする関係遺言の有無を確認するものです。自分が関係者でない遺言が保管されていても、該当なしという結果になることがあります。

Q. 法務局保管の遺言なら検認が必要ですか?

家庭裁判所の検認は不要です。情報証明書等で内容を確認し、財産の手続きへ進みます。保管されていることは、遺言内容の有効性の保証とは異なります。

Q. 家族の写真だけでも相続手続きに使えますか?

写真は確認の手掛かりになりますが、提出先が求める原本や証書、情報証明書の代わりになるとは限りません。原本の保管先と正式な取得方法を確認してください。原本を紛失した場合は、その事情も窓口へ伝えます。

7. まとめ

  • 自宅、公証役場、法務局の調査を分けます。
  • 保管事実証明と情報証明の目的を区別します。
  • 該当なしの結果は、請求人の資格と検索の範囲も確認します。
  • 原本を保ち、検認と内容の確認、財産の実行を分けて進めます。

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