この記事の監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)
最終更新日:2026年9月2日 ※本記事は更新日現在の法令・実務に基づき内容を確認しています。
民間の身元保証サービスへの申し込みを検討している、あるいはすでに契約したものの、内容に不安を感じ始めていませんか。
高額な費用を求められた、預託金の説明がよく分からない、解約したいのに条件が分からない。そうした声は、国の相談窓口にも寄せられています。
何を確認すれば安心して契約できるのか、順番に説明します。
この記事のポイント
- 身元保証サービスのトラブルは、契約前の説明不足と、解約時の返金をめぐるものが中心です
- 契約前に確認したい点は、消費者庁のガイドラインである程度整理されています
- 契約書の中身は、司法書士が契約の当事者ではない立場からチェックすることもできます
お急ぎで契約書の内容を確認したい方は、まず無料相談へ。→ 無料相談の詳細を見る
1. 結論:契約前に確認しておきたいことがあります
この章でわかること 契約前の確認と第三者のチェックで、防げるトラブルがあります
身元保証サービスとは、入院や施設入居の際の連帯保証や、緊急連絡先の引き受け、亡くなったあとの事務までを、まとめて契約できる民間のサービスです。
結論から言うと、身元保証サービスをめぐるトラブルの多くは、契約前の説明不足と、解約時の返金をめぐるものです。あらかじめ確認すべき点を知っておけば、防げるトラブルは少なくありません。
国も、こうしたトラブルを防ぐための整理を進めています。令和6年6月には、消費者庁を含む8つの省庁が指針をまとめました。名前は「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」です。契約前に何を確認すればよいかは、このガイドラインである程度分かります。
すでに契約してしまい、内容に不安が残っている方も、今から見直すことはできます。次の章から、実際に起きているトラブルの内容と、確認のしかたを順番に説明します。そもそも保証人を頼める人がいない場合にどんな選択肢があるかは、こちらでも詳しく説明しています。→ 入院・施設入居で身元保証人がいないとき、どうするか
2. なぜ身元保証サービスでトラブルが起きやすいのか
この章でわかること 相談件数は年100件前後で推移し、高齢の女性が多くを占めます
身元保証サービスをめぐる消費者トラブルは、国の相談窓口にも継続して寄せられています。独立行政法人国民生活センターが公表した資料によると、身元保証等高齢者サポートサービスに関する相談件数の推移が分かります。2013年度から2018年度にかけて、年間70件台から180件弱の間で推移しています。
参考:国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意」(2019年5月30日公表)
同じ資料では、相談を寄せた契約当事者の年代は60歳以上が約9割を占め、女性が男性の約1.7倍にのぼると分析されています。契約購入金額の平均は約147万円、すでに支払った金額の平均は約100万円と、高額になりやすい傾向もうかがえます。
なぜこれほどトラブルが起きやすいのでしょうか。理由は、身元保証サービスという契約そのものの性質にあります。契約期間が長期にわたり、サービスの中身が多岐にわたるうえ、死後事務のように、本人が結果を確認できないまま履行される部分も含まれるためです。
契約する側も、判断力の低下が心配な年代であることが少なくありません。だからこそ、契約前に何を確認すべきかを、あらかじめ知っておくことが役に立ちます。
国民生活センターは、消費者へのアドバイスとして4つの点を挙げています。自分の希望をしっかり伝えて内容を確認すること。預託金の用途や解約時の返金条件を、あらかじめ確認しておくこと。契約内容を周囲の人にも理解してもらうこと。そしてトラブルになったら、すぐに消費生活センター等へ相談することです。次の章から、それぞれの点を具体的に見ていきます。
3. 実際に起きているトラブルの4つの類型
この章でわかること 契約前・契約後、それぞれで起きやすい落とし穴があります
国民生活センターに寄せられた相談事例をもとに、起きやすいトラブルを整理すると、次の4つに分けられます。
契約前の段階では、サービス内容や料金をよく理解しないまま契約してしまうケースが目立ちます。「みんな付けている」と勧められるままサービスを追加したり、契約を急かされて詳しい説明を受けないまま支払ってしまったりする例が報告されています。
契約後については、約束されていた定期的な安否確認の連絡が来なかったなど、合意したはずのサービスが実際には提供されないという相談も寄せられています。解約を申し出た際に、返金額の説明がないまま一方的に精算されたケースもあります。
さらに、過去には契約していた事業者が破産し、サービスを受けられなくなっただけでなく、預けていたお金も戻らなかった例が、国の資料で報告されています。預けた費用の管理方法は、契約前に確認しておきたい点です。次の章で、具体的な確認事項を整理します。
4. 契約前に確認したい重要事項
この章でわかること 国のガイドラインが示す重要事項が、確認の目安になります
消費者庁を含む8つの省庁が令和6年6月にまとめたガイドラインがあります。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は、契約前に事業者が説明すべき重要事項を12項目にわたって示しています。代表的なものを確認しておくと、契約書を読むときの目安になります。
| 項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| サービス内容と費用 | 入会金・預託金・月会費などが、区分して示されているか |
| 支払い方法 | いつ、いくらを、どの費用に対して支払うのか |
| 履行状況の確認方法 | サービスが実際に行われたかを、どうやって確認できるか |
| 判断能力が低下した場合の対応 | 誰が、どのタイミングで、何をするのかが決まっているか |
| 解除方法・解約時の返金 | 解約の手順と、返金される金額の算定基準 |
| 預託金の管理方法 | 事業者自身の運営資金と分けて管理されているか |
この6項目は、事業者が「重要事項説明書」として書面にまとめ、契約前に交付することが望ましいとされています。口頭の説明だけで済ませようとする事業者には、書面での説明を求めてください。
こんな方は、契約前に一度立ち止まる価値があります
- ✓サービス内容や料金について、書面での説明を受けていない
- ✓預託金や入会金として、高額な費用をその場で求められている
- ✓「今すぐ決めないと」と契約を急かされている
- ✓契約内容について、家族や第三者にまだ相談できていない
身元保証契約とあわせて、財産をすべて譲り渡す契約を結ばされていた事案が報告されています。契約書に、死亡時の財産の譲渡や寄付をセットにする条項が入っていないかも、あわせて確認してください。
契約書だけをお持ちいただいても構いません。まずは中身を一緒に確認します。→ 無料相談を予約する
5. 預託金の管理方法と解約・返金条件
この章でわかること 預託金は分別管理を、解約条件は書面での確認を求めます
身元保証サービスの費用は、契約時にまとまった金額を支払う「預託金」の形をとることが多く、ここがトラブルの起点になりやすい部分です。
ガイドラインは、利用者から預かった前払金・預託金の扱いについて述べています。事業者自身の運営資金とは明確に区分して管理し、利用者に定期的に管理状況を報告することが望ましいとしています。管理方法としては、信託銀行や信託会社との信託契約を利用する方法などが挙げられています。
参考:内閣官房・消費者庁ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)
「分別管理をしていますか」「解約したら、いくら戻ってきますか」という2つの質問には、契約前に答えてもらってください。答えがあいまいなまま契約を進めるのは避けたほうが安全です。
解約料についても、消費者契約法上のルールがあります。事業者が定める解約料のうち、平均的な損害額を超える部分は無効になりうるとされています。
消費者契約法第9条第1項第1号(抜粋)
次に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。(略)当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、(略)平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
また、利用者から求められれば、事業者は解約料の算定根拠を説明する努力義務を負います(同条第2項)。これらは、ガイドラインでも挙げられています。
身元保証サービスの多くは、法律上「委任」または「準委任」(契約や支払いなどの法律行為ではない事務を任せる契約)にあたります(民法第643条、第656条)。委任契約は、次のとおり、原則としていつでも解除できます。
民法第651条第1項
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
ただし、解約できることと、費用の負担なく解約できることは別の話です。解約時にいくら戻るかは、契約書の条項で確認してください。
ここまでの内容を踏まえ、契約前に確認する順番の目安をまとめると、次のようになります。
- 重要事項説明書を書面で受け取る —— 口頭の説明だけで終わらせず、書面での交付を求めます。
- 預託金の管理方法を確認する —— 運営資金と分けて管理されているかを聞きます。
- 解約条件と返金の算定基準を、具体的な金額の例とあわせて確認します。
- 家族や第三者に契約内容を共有し、必要であれば専門家にも確認してもらいます。
6. 消費者庁「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」とは
この章でわかること 8つの省庁がまとめた指針で、司法書士等はもともと対象外です
ここまで紹介してきた「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」について、あらためて説明します。
これは、内閣官房(身元保証等高齢者サポート調整チーム)を中心とする8つの省庁がまとめた指針です。内閣府、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省が、令和6年6月に公表しました。対象となるサービスは、「身元保証等サービス」「死後事務サービス」「日常生活支援サービス」の3つに分類されています。
法律のような強制力はなく、事業者が自主的に取り組むべき事項の目安として作られており、利用者にとっても事業者を判断する目安になります。ガイドラインには、事業者・利用者どちらも使えるチェックリストが添付されています。
ガイドラインの対象範囲について、次のような記載があります。
各種業法による規制が及ばない事業者を主な対象とする、という前提のもとで、士業についてはこう述べています。「弁護士、司法書士、行政書士等の業法に基づく規制等が既に存在している業種を対象外とする」という一文です。
参考:内閣官房・消費者庁ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)第1 2 ガイドラインの対象
つまり司法書士は、国家資格に基づく規律のもとで業務を行う立場であり、ガイドラインが主な対象とする事業者とは、立ち位置が異なります。この違いが、次の章で説明する相談先選びのポイントにつながります。
7. 相談先ごとの役割の違い
この章でわかること 民間サービス・社協・司法書士では、担える役割が違います
身元保証サービスを検討するとき、相談先は一つではありません。それぞれ担える役割が異なるため、目的に応じて使い分けることができます。
| 民間の身元保証サービス事業者 | 地域包括支援センター・社会福祉協議会 | 司法書士などの専門職 | |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 身元保証・死後事務などをまとめて契約できる | 相談・情報提供、地域の見守り支援 | 契約内容の法的な確認、遺言・任意後見等の設計 |
| 費用の目安 | 契約金・月額費用・預託金など | 無料または低額 | 相談料(初回60分無料など)+業務ごとの報酬 |
| 契約内容を第三者としてチェックしてもらえるか | 契約の当事者のため難しい | 法的な点検は業務の範囲外 | 契約の当事者ではない立場から確認できる |
民間の身元保証サービス事業者は、緊急連絡から死後の事務まで、まとめて契約できる点が利点です。一方で、契約の当事者そのものであるため、その事業者自身が「この契約は妥当です」と説明しても、第三者による確認にはなりません。
地域包括支援センターや社会福祉協議会は、無料や低額で相談できる公的な窓口です。ただし、民間事業者の契約書の内容そのものを法的に点検することは、業務の範囲外です。
もう一つ、覚えておきたい窓口があります。消費生活センターです。契約や解約をめぐるトラブルが実際に起きたときに相談する窓口で、全国共通の電話番号「188(いやや!)」でつながります。ただし、こちらもトラブルが起きたあとの相談が中心で、契約前の契約書そのものを法的に点検する窓口ではありません。
契約前に、契約書の中身を契約の当事者ではない立場からチェックできるのは、司法書士などの専門職です。次の章で、具体的に何を相談できるのか説明します。
8. 司法書士に契約書をチェックしてもらうという選択肢
この章でわかること 契約前でも契約後でも、第三者として内容を確認できます
民間の身元保証サービス事業者を選ぶこと自体は、司法書士でなければできない手続きではありません。どなたでも契約できます。
ただし、契約書の中身が法律的にどう位置づけられるか、解約条件や預託金の扱いにどんなリスクがあるかを読み解くことは、専門家に相談する価値があります。当事務所では、これから契約しようとしている身元保証サービスの契約書について、契約の当事者ではない立場からご相談を承っています。すでに契約したあとに不安を感じている場合も、同じように相談いただけます。相談料は初回60分無料、2回目以降は30分5,000円(税込5,500円)です。
相談の際は、契約書や重要事項説明書、パンフレットなど、手元にある資料をお持ちください。資料がすべてそろっていなくても、今分かっている範囲でお話しいただければ、確認すべき点を一緒に整理できます。事業者から急いで返事を求められている場合でも、契約前に一度確認する時間を取ることは、決して遠回りではありません。
契約するかどうかの判断は、遺言や任意後見とあわせて考えられます
身元保証サービスだけでは、判断力が低下したあとの財産管理や、亡くなったあとの手続きまでは十分に備えられない場合があります。任意後見契約や死後事務委任契約、公正証書遺言などを組み合わせることで、備えの抜け漏れを減らせます。
まとめてご相談いただけます。→ 生前対策のご案内を見る
頼める人がいないときの相談先の全体像は、こちらでも整理しています。→ 入院・施設入居で身元保証人がいないとき、どうするか
亡くなったあとの手続きをまとめて頼む契約については、こちらで詳しく説明しています。→ 死後事務委任契約について詳しく見る
元気なうちの見守りとして、身元保証サービスより軽い契約を検討したい場合は、見守り契約という選択肢もあります。→ 見守り契約とは? できることと、財産管理契約との違い
財産の行き先を遺言で決めておきたい場合、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶかは、こちらで整理しています。→ 自筆と公正証書、どちらの遺言にするか決める3つの基準
9. よくある質問
この章でわかること よくある質問にまとめて答えています
Q. 身元保証サービスは、司法書士でないと契約できませんか?
A. いいえ。身元保証サービスは司法書士の独占業務ではなく、どなたでも民間事業者と契約できます。ただし契約内容は法律的な意味を持つため、不安があれば契約前に専門家へ相談することをおすすめします。
Q. 預託金は、どのように管理されているか確認できますか?
A. はい。国のガイドラインは、事業者自身の運営資金とは区分して管理し、信託契約などで保全することが望ましいとしています。契約前に、管理方法と定期的な報告の有無を確認してください。
Q. 契約後に解約したら、預けたお金は戻りますか?
A. 事業者や契約内容によって異なります。委任契約は原則としていつでも解除できますが、解約料が定められている場合、返金される金額は契約書の条項によって決まります。解約前に、算定根拠を書面で確認してください。
Q. すでに契約してしまいましたが、内容を見直すことはできますか?
A. できます。契約後であっても、契約書の内容を専門家に確認してもらうことは可能です。不安な点があれば、早めにご相談ください。
Q. 消費者庁のガイドラインに反した事業者は、罰則を受けますか?
A. ガイドライン自体には罰則がなく、事業者の自主的な取り組みを促す位置づけです。ただし、消費者契約法などの法律に反する条項は、その部分が無効になる場合があります。
Q. 契約先に直接聞きづらいことは、どこに相談すればいいですか?
A. 国民生活センターは、契約や解約のトラブルについて、最寄りの消費生活センター等へ相談するよう案内しています。全国共通の窓口として、消費者ホットライン「188(いやや!)」があります。事業者に直接聞きづらいことは、こうした公的な窓口や、司法書士などの専門職にも相談できます。
10. まとめ
- 身元保証サービスのトラブルは、契約前の説明不足と、解約時の返金をめぐるものが中心
- 国のガイドラインは、契約前に確認すべき重要事項を整理している
- 預託金は、事業者の運営資金と分けて管理されているかを確認する
- 司法書士は、契約の当事者ではない立場から契約書をチェックできる
- 不安があれば、消費生活センターや専門家に、早めに相談したほうがよい
次の一歩として、まずは今お持ちの契約書、または検討中のパンフレットを、そのままお持ちください。
あわせて読みたい
判断に迷ったときは
身元保証サービスに申し込むかどうかは、すぐに決めなくても構いません。
岩田司法書士事務所では、初回60分のご相談を無料でお受けしています。契約書のチェックだけのご相談も可能です。詳しい内容は料金のご案内とあわせて、ご相談の中でお伝えします。
松江市・安来市・出雲市・米子市を中心に、島根県・鳥取県全域に対応。オンライン相談で全国からのご依頼も承ります。
お電話:0852-28-0336(平日9:00〜18:00/土日も事前予約により対応可能)

