監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)
ページ更新日:2026年10月6日 一般的な手続きの解説であり、個別の事情によって必要な対応は異なります。
銀行や証券会社への提出、不動産の名義変更など、相続の手続き先が複数ある場合があります。集めた戸籍の束を、そのたびに出すのは手間がかかります。そんな場面で検討できるのが、法定相続情報一覧図です。
一覧図は、戸籍に基づく相続関係を法務局が確認した書類です。作る前には戸籍を集めますが、交付後は複数の手続きで使えることがあります。必要書類から申出先、追加の交付まで確認しましょう。「この1枚で全部済む」と考えず、使える範囲と別に必要な書類も分けて説明します。
この記事のポイント
- 一覧図は戸籍の収集を省く制度ではなく、集めた戸籍の確認を複数の手続きで使いやすくする制度です。
- 交付手数料は無料ですが、戸籍の取得や郵送等の実費は別です。
- 遺産の分け方、遺言の内容、相続放棄の事実は証明しません。提出先の追加書類を確認します。
一覧図を作るか迷っている場合は、手続き先の一覧から整理できます。→ 無料相談を予約する
1. 一覧図は、戸籍に基づく相続関係をまとめる書類です
この章でわかること 戸籍確認を助ける制度の役割を整理します。
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と、戸籍から判明する相続人の関係を一覧にした図です。相続人などが戸籍と図を登記所へ提出し、登記官が内容を確認します。その後、認証文を付けた一覧図の写しが交付されます。
登記所とは、不動産登記などを扱う法務局の窓口です。認証文は、法務局が確認した書類であることを示す記載です。自分で作った家系図や、図をコピーしただけの紙とは区別してください。
制度の概要と無料交付は、法務局「法定相続情報証明制度について」で確認できます。制度は任意で利用するもので、相続手続きの全員に作成を義務づけるものではありません。
軽くなるのは、戸籍を何度も出す部分
戸籍の束には、故人の出生から死亡までの経緯や親族関係が記載されています。提出先がその関係を確認する必要がある場合、一覧図の写しを利用して負担を減らせることがあります。複数通を用意すれば、書類を手元へ戻してから次へ回す順序を変えられる場合もあります。
ただし、金融機関の審査や本人確認、相続人の署名などは別です。一覧図を作ると銀行への訪問が1回になる、口座がすぐ解約できる、といった保証はありません。手続きのどの部分を置き換えるかを、提出先ごとに確認します。
金融機関の必要書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無などによって異なります。一覧図で省略できる書類と、別に必要な資料を提出先に確認してください。
手続きの流れを先に見る
- 必要な戸籍と住所資料を集める
故人の一連の戸籍と相続人の現在の戸籍などを確認します。 - 一覧図を作成する
戸籍に沿って、氏名・出生・死亡・続柄などを記載します。 - 登記所へ申出する
申出書、一覧図、必要資料を提出します。 - 交付内容を確認する
認証文付きの写しと返却資料を確認します。 - 各提出先で利用する
一覧図以外の資料と合わせ、手続き先の案内に従います。
この流れでは、戸籍の収集と図の作成を先に行います。相続人が誰か不明なまま、法務局に図だけ渡せば調べてもらえる制度ではありません。連絡の取れない家族がいる場合の進め方は、連絡の取れない相続人がいる相続で確認できます。
2. 作る前に、故人と相続人の戸籍をそろえます
この章でわかること 戸籍と住所を証明する資料は別です。
一覧図の作成には、まず故人の出生から死亡までの連続した戸籍等を用意します。現在の戸籍1通だけでは、過去の婚姻や子の関係を確認しきれない場合があります。必要な範囲をつなげ、相続人全員を明らかにする準備です。
あわせて、相続人全員の現在の戸籍と故人の住民票除票を用意します。申出人の氏名と住所を確認できる公的書類なども必要です。故人の除票が取得できない場合や、代理で申し出る場合は、必要となる資料が変わります。
| 資料 | 何を確認するか | 準備で見る点 |
|---|---|---|
| 故人の出生から死亡までの戸籍等 | 身分関係と相続人の範囲 | 除籍・改製原戸籍を含め、連続しているか |
| 相続人全員の現在の戸籍 | 相続人の現在の記録 | 故人の死亡日以後の証明日のものか |
| 故人の住民票除票 | 最後の住所 | 取得できない場合は戸籍附票等の扱いを確認 |
| 申出人の公的書類 | 申出人の氏名・住所 | 公式案内の本人確認書類に合うか |
| 相続人の住民票等 | 一覧図へ任意で記載する住所 | 住所を記載する場合に準備する |
| 委任状など | 代理人による申出の権限 | 代理で申し出る場合の資格資料も確認 |
出典:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」STEP1と同ページの必要書類一覧。個別の相続関係によって、戸籍の追加が必要な場合があります。
戸籍を取得したら、先に不足を見つける
故人の戸籍は、出生から婚姻などの記録をたどって整理します。転籍や改製の記録も確認します。
転籍とは本籍を移すことです。改製とは、戸籍の形式などを変更して新しい記録に作り替えることです。紙の枚数が多いことと、期間がつながっていることは別です。
取得済みの戸籍ごとに、本籍と筆頭者を控えると整理できます。戸籍の種類と、故人が記載された期間も記録してください。筆頭者は、その戸籍の先頭に記載される方です。故人と同じ氏名の別の親族や、違う世代の戸籍を混ぜないようにします。
婚姻で別の戸籍へ移った子や、故人より先に亡くなった子がいる場合は、現在の家族メモだけで判断しないでください。相続人の範囲に疑問があれば、図を書く前に戸籍を持って相談します。相続人の順位の基本は、独身の方の相続人の順位でも整理しています。
戸籍と住所資料は、役割が違う
戸籍の本籍地と、最後に暮らしていた住所は同じとは限りません。故人の本籍だけで最後の住所を記載しないようにします。住民票除票や戸籍附票など、住所を確認する資料と照合してください。
相続人の住所を一覧図に載せることは任意です。載せる場合は、それを確認できる住民票等を提出します。住所を載せると、その後の手続きで住所証明の提供が不要になる場合がありますが、どこでも省略できるとは限りません。
→ 法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」。利用予定先に住所の記載が役立つかを先に尋ねると、作成後の手直しを減らせます。
外国の身分資料が含まれる場合
法務局は、故人や相続人が日本国籍を持っていないなど、戸籍や除籍の謄本・抄本を提出できない場合は利用できないと案内しています。一覧図の制度は、日本の戸籍に基づく確認を前提とするためです。外国の書類を自分で図に転記すれば同じ扱いになる、と考えないでください。
制度を利用できないことと、相続手続き自体を進められないことは別です。手続き先に必要な身分関係資料を確認し、その取得や翻訳などの対応を相談します。複数の国の資料が関係するときは、図の作成から始めず、必要資料の確認を先に進めましょう。
3. 記載例を使い、氏名・日付・続柄を戸籍と照合します
この章でわかること 図は見やすさより先に記録との一致を確認します。
法務局は、配偶者と子や配偶者と父母などの記載例を公表しています。兄弟姉妹や代襲相続の記載例もあります。代襲相続とは、本来相続人になる子などが先に亡くなっているとき、その子の子などが代わって相続することです。自分の家族関係に合う例を選びます。
中心となる情報は、故人の氏名と出生・死亡の日付、最後の住所です。相続人の氏名と出生の日付、続柄なども記載します。書式へ書き込むたびに、元の戸籍や住所資料を見て確認します。普段の呼び名や省略した漢字ではなく、資料の記載に合わせます。
A4縦の白い紙を使い、作成日と作成者の住所・氏名を記載します。認証文が入る下から約5cmの範囲は、できるだけ空けておきます。申出人の氏名には「(申出人)」を併記します。
形式だけ似せた独自の家系図を、そのまま一覧図として出さないようにします。→ 法務局の一覧図記載例・一覧図の作成(STEP2)
家族メモには書けても、提出用には書かない内容がある
家族の連絡先や話し合いの担当者は、作業用メモにあると便利です。誰が実家に住むかなども、家族メモで整理できます。しかし、一覧図は相続関係の証明に使う書類です。家族メモの内容を全部載せればよいわけではありません。
「この家を取得する」「預金は長男へ」「放棄済みなので除外」など、遺産の分け方や放棄の結果で相続人の記載を変えることはしません。相続放棄をした方も、法務局の記載例の注意に従って氏名・出生・続柄を記載します。
廃除とは、一定の理由で相続する資格を失わせる制度です。推定相続人から廃除された方は、一覧図に氏名・生年月日・続柄を記載しません。相続放棄した方の記載とは扱いが異なります。家族の希望だけで除外せず、戸籍等で廃除の事実を確認してください。
→ 法務局「具体的な手続について」留意事項・一覧図の作成(STEP2)
続柄の書き方は、利用先も考えて選ぶ
法務局の案内では、子を「子」、配偶者を「配偶者」と記載する方法も認められています。ただし、相続税の申告等に使えない場合があると注意されています。利用予定があるなら、戸籍上の続柄を確認して作成することが大切です。
相続税の申告書に添付する一覧図は、相続関係を図の形式で示し、子が実子か養子か分かる続柄を記載したものが必要です。養子がいる場合は、その養子の戸籍謄本又は抄本も添付します。税額の判断は税理士へ確認してください。
出典:相続税法施行規則16条3項1号ロ・国税庁「相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました」(平成30年度改正案内・Q&A)
図を提出する前の見直し
故人の死亡年月日と相続人の出生年月日を、似た欄へ取り違えていないか確認します。姓が変わった方や旧字体がある方は、転記の漏れに気をつけてください。同じ戸籍に複数の家族が記載されている場合も、一人ずつ確認します。
続柄の線が誰から誰へつながっているかも見直します。紙に印刷して、一人ずつ戸籍と照合すると、画面上では気づかなかった抜けを見つけられることがあります。判断できない関係は、図に仮の線を入れて提出せず、作業メモへ残します。
提出用の一覧図、元の戸籍、作業用メモは分けて保管します。修正があった場合は、どの版が最新か分かるようにしてください。古い図を同じ封筒へ入れたり、別の故人の図を混ぜたりしないための整理です。
4. 申出先を選び、必要な通数と受取方法を決めます
この章でわかること 選べる登記所と、提出前の準備を確認します。
申出できるのは、故人の相続人です。故人の相続人が亡くなっている場合は、その方の相続人も申し出られます。相続人の一人が申し出ることができます。委任によって、申出人の親族や司法書士等の資格者へ申出を依頼することもできます。
申出先は、4つの所在地のいずれかを管轄する登記所から選びます。故人の死亡時の本籍地と最後の住所地、申出人の住所地、故人名義の不動産の所在地です。どこの法務局でもよいわけではありません。利用しやすい候補を選んだら、その所在地を担当する登記所を確認します。
不動産がなくても、制度を使える
一覧図は、故人名義の不動産がある場合だけの制度ではありません。預貯金などの相続でも利用できます。不動産所在地という候補がなくても、最後の住所地や申出人の住所地などに基づいて申出先を選びます。
一方、不動産の相続登記の申請先と、一覧図の申出先は混同しないようにします。一覧図には申出人の住所地などの選択肢がありますが、不動産の名義変更の申請先は別に確認します。登記の期限は、相続登記の3年ルールをご確認ください。
申出書で、交付通数と受取方法を示す
申出書には、申出人と故人の情報を記載します。利用目的と、交付を希望する通数なども記入します。提出先の数を数える前に、認証文付きの原本が必要か、返却してもらえるかを確認します。むやみに多く作るより、手続きに必要な範囲で決めましょう。
申出と一覧図の写しの交付は、郵送による方法も可能です。郵送での交付と戸籍の返却を希望する場合は、その旨を申出書へ記載し、返信用封筒と切手を同封する案内があります。送付先と返信先を、申出書の表示と合わせて確認します。
窓口で受け取る場合は、申出人の住所・氏名と同じ内容が記載された公的書類等を持参します。窓口案内や交付の日程は登記所へ確認してください。提出した日にその場で交付されることを前提に、銀行の予定まで組まないようにします。
無料なのは、一覧図の写しの交付手数料
一覧図の写しは無料で交付されます。ただし、戸籍の交付手数料や郵送料、専門家へ作成を依頼する場合の報酬は別です。制度の手数料が無料でも、準備全体の費用がゼロになるわけではありません。
専門家へ依頼する場合は、戸籍の収集と相続人の確認が含まれるかを確認します。図の作成と申出についても、依頼する範囲を確かめてください。相続登記の依頼と一緒でも、一覧図が自動で作られると考えず、依頼範囲と見積りを確認してください。→ 相続手続きの料金案内を見る
比較のための費用項目は、相続登記の費用と内訳も参考になります。一覧図の交付手数料、不動産登記の税金、事務所への報酬は役割が違います。費目ごとに区別して確認してください。
5. 戸籍の代わりに使えても、遺産の分け方は証明しません
この章でわかること 相続関係と、財産の行き先を分けます。
一覧図の利用で大切なのは、何を証明しているかです。戸籍の記載に基づく相続関係を示す一方、誰がどの財産を取得するかは示しません。家族の話し合いがまとまったことを証明する書類でもありません。
一覧図があることと、遺産の分け方が決まっていることは別です。銀行が払戻先を確認するには、遺言書や遺産分割協議書など、別の資料が必要になる場合があります。
| 確認したい内容 | 一覧図の役割 | 別に確認する資料等 |
|---|---|---|
| 戸籍に基づく相続関係 | 中心となる証明対象 | 一覧図を利用できる範囲を提出先へ確認 |
| 誰が預金や土地を取得するか | 分割結果は示さない | 遺産分割協議書など |
| 遺言の内容や遺言による取得者 | 遺言を証明しない | 遺言書、遺言書情報証明書等 |
| 相続放棄が受理されたか | 放棄の結果を示さない | 家庭裁判所の受理証明書等 |
| 財産の種類・金額・残高 | 財産目録ではない | 残高証明書、登記事項証明書等 |
| 手続きをする方の本人確認 | 窓口の本人確認全体に代わらない | 提出先が指定する本人確認資料 |
相続放棄・遺産分割の結果を一覧図が示さないことは、法務局「具体的な手続について」留意事項に明記されています。利用先に一覧図以外の必要書類を確認するよう案内されています。
放棄した方の名前があるから、放棄が無効とはならない
相続放棄をした方も一覧図には氏名等が載ります。これは戸籍の記載に基づく相続関係を示す制度のためです。放棄を反映した図へ作り替えるのではなく、放棄の事実は別の資料で示します。
一覧図を受け取った家族が、名前があることだけで「まだ相続人だ」と判断しないよう説明が必要です。提出先から放棄の資料を求められた場合は、家庭裁判所の書類の種類を確認します。放棄の期限の判断は、相続放棄の3か月の考え方へ進んでください。
遺言があっても、一覧図の役割は変わらない
遺言で財産の行き先が指定されている場合も、一覧図そのものに遺言の内容は反映されません。法定相続人と、遺言で財産を受け取る方が同じとは限りません。遺言がある手続きとして、必要な資料を確認してください。
自筆証書遺言や公正証書遺言で準備が違うため、一覧図の交付だけで遺言の確認まで終わったと考えないようにします。遺言の種類の違いは、自筆と公正証書、どちらの遺言にするかで説明しています。
一覧図の交付で、相続登記の義務を果たすわけではない
法務局で同じ名前を聞く手続きに、相続登記や相続人申告登記があります。一覧図の交付申出は、名義変更の申請でも、相続人申告登記の申出でもありません。何を提出したかを、書類名で確認してください。
登記期限への対応は、別に進める必要があります。分割がまとまらない場合の相続人申告登記は、3年に間に合わないときの相続人申告登記で確認できます。一覧図ができたことだけで、期限の管理を終えないようにしましょう。
一覧図のほかに何を出すか分からない場合は、銀行や法務局から受け取った案内を並べて整理できます。→ 必要書類について相談を申し込む
6. 交付後は提出先ごとに使い、足りない分は再交付を確認します
この章でわかること 交付資料と提出状況を管理します。
交付された一覧図の写しを受け取ったら、故人と相続人の記載を一人ずつ確認します。通数が希望と合っているか、返却された戸籍に不足がないかも見ましょう。申出人の本人確認資料など、戸籍と同じようには返却されない資料があります。
法務局の認証文が付いた書類を、提出先が求める形で使います。自分でコピーを増やした紙が、認証文付きの書類原本と同じ扱いになるとは限りません。提出先が原本とコピーをどう扱うかを確認します。
不動産登記では、法定相続情報番号を提供して一覧図の写しの添付を省略する方法があります。法務局で保管中の情報を登記官が確認できる場合に限られ、保管期間経過後は番号が使えないことがあります。既に交付された紙の写しは、その後も添付書類として使えます。
銀行等の不動産登記以外の手続きでは、この番号を使うことはできません。紙の一覧図の利用と番号の利用を区別してください。→ 法務局「法定相続情報証明制度について」・番号の提供による添付省略の注意事項
提出先の一覧に、書類の状況を書く
作業用メモには、銀行や証券会社などの名前と担当窓口を記録します。必要書類、送付日、返却の有無も控えてください。戸籍原本が手元にあるか、一覧図を何通残しているかも分かるようにしてください。口座が複数あっても、同じ金融機関で一括して確認できるかはその窓口へ尋ねます。
必要書類が同じように見えても、印鑑証明書の対象者や書式が異なる場合があります。別の窓口に出した書類のコピーだけで進めず、その提出先の案内と照合します。書類が返却されたら、確認が済んだものと不足があるものを分けてください。
手続きを家族で分担するときは、故人ごとに資料を分けます。誰がどの窓口を担当するかをメモし、原本が二重に移動しないようにします。一覧図には親族の情報が記載されているため、手続きに不要な第三者へ広く送らないようにしましょう。
追加の交付は、最初の申出人が元の登記所へ申し出る
一覧図は、申出日の翌年から起算して5年間保管されます。その期間中は、追加の写しの再交付を受けることができます。最初の交付時に少なかった場合や、後で新しい口座が見つかった場合は、再交付を確認します。
再交付の申出人となるのは、最初の申出書に申出人として記載された方です。最初の申出人にならなかった他の相続人が、自分の立場だけで再交付を受けるわけではありません。代理で手続きを行う場合は、当初の申出人からの委任など、必要な資料を確認します。
再交付の申出先は、一覧図を保管している、当初の申出をした登記所です。近くの別の登記所を自由に選び直す扱いとは区別します。→ 法務局「一覧図の写しの再交付を受けたい場合」
保管期間と、提出先が求める新しさを混同しない
5年は登記所での保管期間です。すべての提出先が発行から5年間同じ条件で受け付ける、という期限ではありません。金融機関等が求める発行時期や、その後に相続人が亡くなった場合の資料は別に確認します。
法務局は、法定相続情報番号を提供する方法でも、追加の事情に応じた別の書類が必要になる場合があると案内しています。相続人の死亡や住所変更、遺産分割、相続放棄などが該当します。→ 法務局「法定相続情報番号の提供による添付省略について」
以前の一覧図を持っている場合は、誰の死亡について作成したものかと交付日を確認します。記載後に家族や住所が変わっていないかも確認してください。数字や氏名を手書きで直して使わず、変更がある旨を提出先へ伝え、必要な資料を相談してください。
7. 作るかどうかは、手続き先と現在の書類で判断します
この章でわかること 窓口の数だけで決めず、利用条件を見ます。
一覧図を作る価値は、「窓口が何か所以上なら必要」という一律の数字で決まりません。どの提出先で使えるか、戸籍の返却があるか、並行して進めたいかで変わります。先に手続き先を一覧にするほうが、判断しやすくなります。
複数の銀行と不動産の手続きを同時に進めたい場合は、認証文付きの写しを複数用意する利点があります。反対に、手続き先が少なく、取得済みの戸籍をそのまま使って進められる場合もあります。その場合は、一覧図を先に作る必要がないこともあります。
架空の例:預金と不動産を別々に手続きする場合
以下は架空の作業例です。故人の預金が2つの金融機関にあり、自宅の相続登記も必要な場合を考えます。まず各提出先へ、一覧図を使えるか、別に必要な書類は何かを確認します。
複数の提出先が利用を認め、戸籍の準備も必要な範囲でそろっていれば、一覧図を作って並行利用する方法を検討できます。銀行には払戻しのための書類、登記には名義変更のための書類を別に準備します。図を作ったことだけで、手続きがすべて終わる例ではありません。
架空の例:手続き先が少なく、戸籍がそろっている場合
別の架空の例として、手続き先が1つで、必要な戸籍がすでに手元にある場面を考えます。その窓口が戸籍原本の返却に応じ、追加の手続きも予定していないなら、戸籍で進める方法を選ぶこともできます。
ただし、後で別の財産が見つかる可能性や、家族が遠方で書類を回しにくい事情も考慮します。作らないことが常に安い、速いと決めつけるのではなく、現在の資料と予定を見て選びます。
自分で作るか、作成を依頼するか
戸籍のつながりと相続人が確認でき、記載例に合う関係であれば、自分で図を作る方法があります。公表様式を使い、提出前に資料と一人ずつ照合してください。図の見栄えより、必要情報の一致を優先します。
兄弟姉妹の相続や代襲相続、その後の相続が重なる場合などは、制度の利用条件も確認します。外国の資料が含まれる場合も、利用条件から確かめてください。読み取れない戸籍や不足資料があるなら、その部分を先に相談します。
岩田司法書士事務所へ相談する場合も、一覧図だけなのか、戸籍収集や登記を含むのかを整理できます。依頼する作業の範囲と費用は、見積りで確認してください。全体のご案内は、相続の手続きについて詳しく見るから確認できます。
8. よくある質問
この章でわかること 申出と利用の取り違えを確認します。
Q. 一覧図を作れば、戸籍を集めなくてよいですか?
A. 作成のために、必要な戸籍を集めます。負担を減らせるのは、交付後に複数の手続きで戸籍関係を示す部分です。相続人を特定できていない場合は、図を先に仕上げず、戸籍の不足を確認してください。
Q. 一覧図には、相続放棄した人も載りますか?
A. 相続放棄した方も、戸籍に基づく相続関係の図には氏名等が記載されます。放棄の結果そのものは証明しません。提出先で必要な場合は、家庭裁判所の受理証明書等を別に準備します。
Q. 不動産がなく、銀行預金だけでも使えますか?
A. 不動産の有無だけで利用対象から外れる制度ではありません。戸籍を提出できる等の条件を満たし、銀行の相続手続きで利用できます。どの銀行でも同じ書類で終わるわけではないため、利用予定先へ追加資料を確認します。
Q. 写しが足りなくなったら、他の相続人が近くの法務局で取れますか?
A. 再交付は、当初の申出人が、保管している元の登記所へ申し出ます。他の相続人の立場だけで自由に再交付を受けるものではありません。代理する場合は、委任等の必要資料を確認してください。保管期間は申出日の翌年から起算して5年間です。
Q. 一覧図を法務局へ申し出れば、相続登記も終わりますか?
A. 一覧図の交付と、土地や建物の名義変更は別の手続きです。登記の申請や、必要に応じた相続人申告登記の対応を別に確認します。図を受け取った後も、各手続きの期限と必要資料を管理してください。
9. まとめ
- 一覧図は、戸籍に基づく相続関係を法務局が確認して交付する書類です。
- 作成には戸籍が必要で、相続人の住所を載せる場合は住所資料も準備します。
- 申出先を選び、必要通数と受取方法を決めます。
- 放棄・分割・遺言の結果は証明しないため、提出先の追加書類を確認します。
- 交付後の利用と再交付を管理し、名義変更などの手続きは別に進めます。
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判断に迷ったときは
「一覧図を作るほうが進めやすいか」という段階でも相談できます。手続き先の一覧と、取得済みの戸籍が分かるようにすると、依頼する範囲を整理しやすくなります。
岩田司法書士事務所の初回相談は60分無料です。松江市・安来市・出雲市・米子市を中心に、島根県・鳥取県全域のご相談に対応しています。具体的な作業内容と費用は、状況に合わせてご案内します。
お電話:0852-28-0336(平日9:00〜18:00/土日も事前予約により対応可能)



