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親の終活の契約を家族が代わりに結べる?【司法書士が解説】

親の終活の契約を家族が代わりに結べる?(司法書士 岩田剛知の写真付きアイキャッチ)

監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

ページ更新日:2026年10月7日 一般的な手続きの解説であり、個別の事情によって必要な対応は異なります。

遺言の作成は家族が代理できません。通常の契約は、有効な代理権と契約条件を満たせば代理できる場合があります。任意後見契約には公正証書が必要で、本人の意思や判断能力の確認も欠かせません。

親の終活を子がまとめて進めたいとき、委任状でどこまで代われるか迷うことがあります。予約や資料準備を家族が支援できる場面もありますが、書面ごとに本人が行うことと必要な権限を確かめることが大切です。

この記事のポイント

  • 予約や資料準備と本人の代理を分けます
  • 遺言の意思と必要な形式を家族が置き換えません
  • 契約する場合は任された仕事と署名の立場を確認します

書面や手伝う仕事が整理できていない段階でも、親の代わりに署名してよいか迷っていてもご相談いただけます。 無料相談を申し込む

1. 結論:手伝う仕事と代理する法律行為を分ける

この章でわかること 委任状だけで全部を任せられません。

代理とは、権限を与えられた人が本人のために契約などをすることです(法律行為)。民法99条では、代理人が権限の範囲内で、親の代理人として契約することを相手に示す必要があります。このように意思を伝えることを意思表示といい、条件を満たせば契約の効果は本人に及びます。

予約や書類の準備を手伝うことと、親の代理で契約することは別です。本人の希望を聞き、面談に同席する役割ならできる仕事があります。本人の欄へ家族が署名する前には、何を代理するのかを確かめます。

終活で使う書面には、遺言、任意後見、財産管理、死後事務委任などがあります。形式や始まる時期が違うため、一通の委任状を万能の書面と考えないようにします。本人が決めることを、家族の都合だけで置き換えません。

全体の整理には生前対策の目的と手段が参考になります。手伝っている仕事を具体的に書き出し、本人が行うことと代理が必要なことを分けます。

参考:民法99条・代理の権限と効果

2. 遺言と支援契約で本人の関わり方は違う

この章でわかること 書面ごとの形式と意思を確認します。

書面・仕事 本人が行うこと 家族ができることと条件
自筆証書遺言 本文・日付・氏名などを自分で書く(自書) 希望の聞き取りや資料整理を支援。本文を代筆できない
公正証書遺言 遺言の趣旨を公証人に伝える 資料準備や予約を支援。本人の意思表示を代わりにしない
任意後見契約 内容を理解して契約し、公正証書を作る 希望や資料の整理を支援。本人の意思・判断能力を伝え、家族が関われる手続きを公証役場へ相談
通常の契約・財産管理の委任 内容と結果を理解して、任せる範囲を決める 有効な代理権の範囲で代理できる場合がある。相手に代理人と示し、契約条件も満たす
予約・同行・資料整理 本人の了解や参加が必要な手続きを確認 窓口の条件に従い支援。予約だけで契約の代理権は生じない

同じ終活の準備でも、本人が意思を示して書面を作る仕事と、日程や資料を整える仕事は別です。子が連絡先になっていることは、遺言の内容を代わりに決める根拠にはなりません。

本人が説明を理解できるか、誰に何を任せたいかを確かめます。認知症などの診断名だけで、どの書面も作れないと一律には決めません。逆に、家族が内容を理解していることを本人の理解と同じには扱いません。

家族が同席する場合も、本人から直接話を聞く場面を確保します。説明を補助する仕事と、本人の意思を誘導することを分けます。家族の希望と本人の希望が違うなら、その違いを確認先に伝えてください。

相談の準備は相続・終活の相談時の持ち物で確認できます。書面を先に完成させず、本人の希望と必要な仕事を相談の材料にします。

参考:民法99条・963条・968条・969条

参考:任意後見契約に関する法律2条・3条

3. 遺言の内容と作成の意思は親本人が示す

この章でわかること 家族の代筆と準備の援助を区別します。

自筆証書遺言では、本文、日付、氏名などを本人が自分で書く(自書)形式があります。家族が本文を代筆して、本人の名義で自筆証書遺言を完成させる方法とは違います。財産目録に認められる例外も、本文の代筆へ広げません。

公正証書遺言でも、本人が遺言の趣旨を公証人へ伝える方式が定められています。家族が代わりに希望を伝えれば本人の意思確認が不要になるという話ではありません。話すことが難しい場合には特則もあるため、状況を公証人へ伝えて確認します。

家族ができる準備には、本人の希望を整理することや、財産の資料を集める補助があります。どの資料を誰が請求できるかは、各窓口の条件を確認します。予約の連絡と本人の遺言作成を一つにまとめて考えないことが大切です。

法務局へ遺言を保管する手続きにも、本人の申請の条件があります。家族が原本を持っていけば済むという説明はできません。既存の形式や書面の不備については遺言の形式で間違えやすい点で確認します。

将来の改正予定と現行の形式も区別します。自筆証書遺言の押印などは、確認時点に適用される法律で判断してください。具体的な改正の扱いは自筆証書遺言の押印改正の説明へ分けて案内します。

参考:民法963条・968条・969条・969条の2

参考:法務省・遺言者の保管申請の手続き

署名する人の立場と、委任状の範囲を確認したい方は、 終活サポートの相談内容を確認する

4. 財産管理などの契約では委任する範囲を確かめる

この章でわかること 署名欄の立場と費用を払うお金を確認します。

生活費の支払や財産管理を家族へ任せる場合は、何をどこまで頼むかを本人が決めます。委任状で確認するのは、対象の契約、口座や手続き、できる行為の範囲です。提出先が求める形式や本人確認も別に確かめます。

本人が内容を理解して任せるか分からないときは、家族が委任状を用意すれば済むとは考えません。意思能力とは、その契約の内容と結果を理解して判断する力です。民法3条の2の意思能力と、代理権の有無を分けます。

権限のない人が代理しても、契約は直ちに本人のものにはなりません。民法113条により、本人が後からその契約を認める(追認する)ことがなければ、原則として本人に効力は及びません。

本人の代理人として署名するのか、家族自身が料金を払うのか、説明の同席者として確認するのかを区別します。本人の氏名を家族が書くことだけで、その契約がどの立場の署名かを判断しません。書類の担当者に説明を求めてください。

親の通帳を預かっていることと、本人の財産から新たな契約費用を払えることも別です。支払原資(費用を払うお金)と必要な権限、本人の了解、支出の記録を確認します。親の通帳を管理する記録で、家族の支払を整理できます。

委任状の形式、本人の意思、署名する人の立場をそろえます。誰が払うかと誰が契約するかを分けることが、後の行き違いを減らします。

参考:民法3条の2・99条・113条

5. 任意後見は公正証書と開始の手続きを確認する

この章でわかること 家族の希望だけで後見が始まりません。

1. 本人の希望と困っている仕事を確認

2. 遺言・委任・後見などの書面を分ける

3. 本人が行う部分と家族の支援を確認

4. 必要な権限と窓口の形式を確かめる

5. 署名と費用の立場を記録する

任意後見は、本人が契約内容を理解して判断できる間に、将来任せる人と仕事を決める制度です。身体が元気かどうかではなく、契約の内容と結果を理解できるかが大切です。任意後見契約法3条により公正証書が必要で、当事者が作る私文書(公正証書ではない書面)だけでは成立しません。

家族が準備を手伝う場合は、本人が誰に何を任せたいかを整理します。本人の意思や判断能力の状況を公証役場へ伝え、家族が関われる手続きを確認してください。任意後見契約には公正証書が必要なので、家族で委任状を作るだけでは契約の方式は整いません。

任意後見の契約と、監督人が選任されて支援が始まる時期も別です。家族が契約書を持っているだけで、既に任意後見人として仕事をできるとは限りません。別の財産管理委任がある場合も、それぞれの権限を見ます。

信託と任意後見の支援範囲、見守りと財産管理の契約を確認し、本人を支える方法を選びます。本人が現在どの説明を理解できるかを相談時に伝えることが大切です。

参考:法務省・任意後見制度Q&A

6. 本人が理解しにくい場合は支援と権限を再確認

この章でわかること 家族だけで書面を完成させません。

本人が理解しにくい場合は、分かりやすい資料や説明の時間を確保します。本人が聞きやすい、話しやすい方法を確認して、希望を表せるように支援します。親のためという理由だけで、家族が決めた内容を本人の意思として記録しません。

現在の状態によっては、法定後見などの支援を検討する場合もあります。後見、保佐、補助では代理できる仕事の範囲が異なるため、現在の権限を確認します。既に後見を利用していても、本人の遺言を後見人が代わりに決めることはしません。

入院や施設入居の契約が急ぎなら、相談窓口へ事情を伝え、今必要な役割を分けます。費用の保証、連絡先、契約の代理、医療同意は同一ではありません。身元保証人の責任と範囲も確認してください。

本人が亡くなった後の仕事を頼む場合は、遺言と死後事務委任の違いとして別に整えます。家族が将来行う仕事を考えることと、本人の財産の渡し先を決めることを混同しません。

終活サポートの案内で相談内容をご確認ください。本人の希望、既にある書面、困っている仕事をそろえると、家族が手伝う範囲と専門家へ確認する範囲を整理できます。

参考:法務省・成年後見制度Q&A

7. よくある質問

この章でわかること 判断に迷いやすい場面を確認します。

Q. 家族が遺言書を代筆してよいですか?

自筆証書遺言の本文などは本人の自書が必要です。家族の代筆をそのまま本人の自筆証書遺言にはできません。本人が書けない事情は、公正証書遺言などの形式を公証人へ相談します。

Q. 委任状があれば、親の代わりに契約できますか?

委任状があっても、対象の契約について有効な代理権があるか、相手方の契約条件を満たすかを確認します。代理人として署名することを相手に示す必要もあります。遺言の作成は代理できません。任意後見契約は公正証書で結ぶため、本人の意思や判断能力、必要な手続きを公証役場へ確認してください。

Q. 予約の電話も親本人がしなければいけませんか?

予約や日程調整と、遺言作成や契約の意思表示は別です。窓口の案内と本人の了解を確認してください。遺言書の法務局保管の予約は、法務省の案内が遺言者本人による予約を求めています。

Q. 後見人なら本人の遺言を作れますか?

後見人が本人に代わって遺言を作ることはできません。成年被後見人が判断能力を一時回復して遺言を作るときは、医師2人以上の立会いが必要です。立ち会った医師は、本人が遺言時に判断能力を欠く状態ではなかったことを遺言書に書き添え、署名・押印します。秘密証書遺言では封紙に記載します。

参考:民法973条・成年被後見人の遺言

8. まとめ

  • 事実上の手伝いと法律行為の代理を分けます。
  • 遺言と契約の形式、本人の意思と判断力を確認します。
  • 委任状の範囲、署名の立場、現在の後見の権限をそろえます。

判断に迷ったときは

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