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住宅ローンが残る家の相続|団信と抵当権【司法書士が解説】

住宅ローンが残る家の相続|団信と抵当権(司法書士 岩田剛知の写真付きアイキャッチ)

監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)

ページ更新日:2026年10月26日 一般的な手続きの解説であり、個別の事情によって必要な対応は異なります。

家を相続するとき、住宅ローンが残っているなら、最初に借入先へ死亡を連絡します。

団信の加入と保障の範囲を確認し、返済の扱いと家の名義変更を分けて進めます。

保険の支払いで完済しても、抵当権の登記が自動で消えるわけではありません。

この記事のポイント

  • 団信の加入を確認
  • 完済と登記は別の手続き
  • 返済の扱いを窓口へ確認

団信の加入状況や家の名義が分からない場合は、返済予定表など手元の資料から相談できます。 住宅ローンが残る家の相続を相談する

1. まず借入先へ連絡し、団信の加入を確認する

この章でわかること 加入の有無だけで、完済を決めつけません。

団信とは、団体信用生命保険の略です。住宅ローンの借り手に死亡などが生じた場合、契約に基づく保険金を返済に充てる仕組みです。相続人が自由に使う通常の死亡保険金とは、受取りの流れが違います。

最初に借入先の金融機関へ死亡を連絡します。加入していた団信、保障の対象となる人、対象の借入れを確認してください。団信へ加入していたことと、支払いが決まったことは別です。

保険証書、返済予定表、借入契約を集めます。書類が見つからない場合も、口座引落しや登記記録などを手がかりに借入先を確認します。契約書がないから団信もない、と決めつけないでください。

住宅金融支援機構は、死亡時には取扱金融機関へ連絡し、団信の有無を確認するよう案内しています。また、加入している制度の種類を確認する案内もあります。申込時期や保障内容の異なる制度を、同じものと扱わないでください。

保険会社による支払可否の審査があります。加入者の死亡によって、どんな契約でも自動でローンが消えるわけではありません。請求資料の提出先、審査中の連絡先、追加書類の有無を確かめます。

参考:住宅金融支援機構:本人が亡くなったとき

2. 単独ローン・ペアローン・連帯債務を見分ける

この章でわかること 家全体の借入れと、保障される借入れを照合します。

一つの家に、複数の借入れがある場合があります。借入先が同じでも、契約が一つとは限りません。借り手、連帯債務者、連帯保証人、団信の対象者を契約ごとに整理します。

例えば、夫婦がそれぞれ別のローンを借りている場合を考えます。亡くなった方の保障対象のローンが完済しても、もう一方のローンが残ることがあります。保険の保障内容によって異なるため、家の借金が全てなくなるとは決めません。

連帯債務の場合は、亡くなった方と残った方がどの債務を負っていたかを確認します。団信の加入者と、弁済される債務の範囲も確かめます。連帯保証と連帯債務は同じ立場ではありません。

登記記録には、別の抵当権が設定されていることもあります。抵当権とは、返済ができない場合などに、担保の不動産から回収するための権利です。登記された金額だけを、現在の残高と考えないようにします。

借入れと担保を一覧にすると、何を確認できていないかが分かります。家の持分、契約者、残高、保障対象を一項目ずつ照合します。相続債務を調べる方法も参考に、住宅ローン以外の債務を確認してください。

項目 確認すること 避けたい混同
借入契約 契約数・借り手・連帯債務者 家一つだからローンも一つ
団信 対象者・保障内容・対象借入れ 加入者以外のローンも消える
残高 現在の債務と返済日 登記の設定額が今の残高
不動産 土地・建物・共有持分 家を取得する人が全債務を負う

3. 請求中の返済は、金融機関の案内を確認する

この章でわかること 死亡を理由に、引落しを自己判断で止めません。

団信の請求に必要な資料は、加入制度の案内に従ってそろえます。住宅金融支援機構の案内では、所定の弁済届や死亡を示す書類などが示されています。全ての民間ローンで、同じ用紙や通数とは限りません。

提出した後も、追加資料や照会がある場合があります。誰へ連絡が来るか、家族の代表者を確認します。請求した日と、提出した資料の写しを残してください。

審査中の返済の扱いは、借入先へ確認します。死亡を伝えれば引落しが自動で止まる、と考えません。支払可否が決まるまでの返済、完済後の精算についても聞きます。

相続放棄を検討する場合は、返済についての案内と、相続を承認するかという判断を分けます。家族が亡くなった方の預金を使って返済する前に、その行為の影響を確認してください。相続放棄の期限も並行して確認します。

団信の結果待ちで期限が自動で延びるわけではありません。債務がまだ分からない場合は、必要な調査や期間の伸長を含めて相談します。保険金が払われるだろうという見込みだけで、処分や支払いを進めないことが大切です。

完済が決まったら、通知と精算の内容を確かめます。どの借入れがなくなり、何が残ったかを一覧へ反映します。名義変更の資料とは分けて、保険請求と返済の書類も保管してください。

参考:住宅金融支援機構:死亡による債務弁済の流れ

団信の審査結果を待つ間の返済や登記に迷ったら、借入先の案内と相続の期限を分けてご相談ください。 相続の相談・手続き案内を確認する

団信の確認と登記の進め方を相談する

4. 完済後は、相続登記と抵当権抹消を確認する

この章でわかること 借金の消滅と、登記記録の整理は別です。

団信で完済しても、家や土地の所有者名義が自動で相続人へ変わるわけではありません。相続登記は、不動産の名義を相続により変更する手続きです。誰が家を取得するかを、遺言や遺産分割で確認します。

抵当権の登記も自動では消えません。金融機関から抹消に使う関係書類を受け取り、登記申請を行います。完済通知だけを保管して、抹消書類を捨てないようにしてください。

法務局は、一般的な添付情報として、登記原因証明情報、委任状、登記識別情報又は登記済証を案内しています。書類の名前は金融機関によって異なる場合があります。届いた書類を一式で示して、何が不足するか確認してください。

相続登記と抹消登記の順番は、死亡日、債務の弁済や抵当権の解除日、登記名義を見て確認します。全ての場合に同じ順番とは限りません。亡くなった方が所有者ではない場合も、所有関係を別に整理します。

土地と建物、共有持分、複数の担保を登記記録で確認します。建物だけ抹消して土地に登記が残る、といった見落としを避けます。登記完了後も、対象の記録を見て確認してください。

遺言がある場合は、遺言に基づく相続登記を参照できます。話し合いで取得者を決める場合は、遺産分割協議書の作り方を確認します。相続登記は、相続の開始と不動産の取得を知った日から原則3年以内の申請が必要です。不動産を相続したことを2024年4月1日より前から知っていた場合は、2027年3月31日が期限です。遺産分割が成立した場合の追加の申請義務もあるため、団信の審査とは別に確認します。登記の期限の数え方と、法務省の申請義務化の案内も参照してください。

参考:法務局:抵当権抹消登記の一般的な添付情報

5. 団信がない、又は支払われない場合は債務を整理する

この章でわかること 家の取得の合意だけで、借入先への責任を決めません。

団信へ加入していない場合や、保険金が支払われない場合には、残る債務を確認します。相続するプラスの財産と、債務の両方を調べます。家があるから相続する、借金があるから放棄する、と一項目だけで決めないでください。

家を一人が取得する合意と、その人だけが借入先へ責任を負うことは別です。通常の金銭債務は、原則として法定相続分に応じて各相続人が負担します。相続人間で負担を決めても、借入先への責任が自動で変わるわけではありません。債務を一人へまとめる場合は、金融機関との手続きも確認します。

参考:e-Gov法令検索:民法472条、仙台家庭裁判所:遺産分割調停手続Q&A(Q4)

住宅金融支援機構には、団信がない場合の相続届などの案内があります。ただし、その機構固有の手続きを全銀行へ当てはめません。返済を続ける人、必要な資料、審査や承諾の条件を借入先へ相談します。

売却を検討する場合も、住宅ローン残高と担保の扱いを先に確認します。売却代金で全て返済できると見込まず、費用や条件を整理してください。実家の名義変更と売却の順番も参考になります。

相続するか迷っている場合は、相続放棄の手続きを確認します。相談には、返済予定表、残高資料、登記記録、団信の通知をまとめてください。借入先との交渉や税務が必要なら、提携する専門家との連携を含めて整理します。

参考:法務局:住宅ローン完済後の抵当権抹消の案内

6. よくある質問

この章でわかること 判断に迷いやすい場面を確認します。

Q. 団信に入っていれば、家のローンは全て消えますか?

加入している契約と保障対象を確認します。保険会社の支払審査も必要です。別契約のローンや保障対象外の債務が残る場合があります。

Q. 完済したら、家の名義変更は不要ですか?

返済と相続登記は別です。家を取得した相続人への登記を確認します。抵当権の登記を消す手続きも別に必要です。

Q. 保険の審査中は返済を止めてよいですか?

借入先へ返済の扱いを確認してください。死亡や請求だけで自己判断で止めることは避けます。相続放棄を検討している場合は、その判断への影響も相談します。

7. まとめ

  • 借入先へ死亡を連絡し、加入した団信と対象者を確認します。
  • 複数の借入れと保障の範囲を契約ごとに整理します。
  • 請求中の返済と、完済後の精算を窓口へ確認します。
  • 家の相続登記と、抵当権の抹消まで結果を確認します。

団信・残る借入れ・家の登記を分けて確認する

返済予定表、団信の通知、登記記録など、今ある資料をお持ちください。借入先への確認事項と、相続登記・抵当権抹消の準備を整理します。

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