この記事の監修者 司法書士 岩田 剛知(島根県司法書士会 第394号)
ページ更新日:2026年9月27日 ※一般的な手続きの解説です。個別のご事情によって必要な対応は異なります。
遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作ります。これは、誰がどの財産を取得するかについて、相続人の合意を示す書面です。相続登記や金融機関の相続手続きなどで使います。
大切なのは、ひな形の空欄を埋める前の確認です。参加する相続人に漏れがないか、遺言がないか、対象の財産は何かを確かめます。ここが曖昧だと、整った書面を作っても手続きで止まることがあります。
通常の相続人全員による協議がまとまったケースを中心に説明します。連絡が取れない相続人や未成年者がいる場合は、先に必要な手続きを確認します。書面だけでその問題を解消できるわけではありません。
この記事のポイント
- 相続人・遺言・財産を確認してから、合意を協議書へ書きます。
- 不動産は登記記録、預金は金融機関の資料と照合して特定します。
- 署名押印前に同じ確定稿を全員で確認し、提出先の書類条件も調べます。
下書きを作り始めた段階でも、ご相談いただけます。遺産分割協議書について無料相談を申し込む
1. 協議書は、分け方を決めてから作る書面です
この章でわかること 合意した内容を明確に残すのが協議書の役割です。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意を文書にするものです。文章を作った人が一方的に分け方を決める書面ではありません。相続人の範囲と財産を確認し、合意を得てから確定稿を作ります。
民法第907条第1項では、遺言で分割が禁じられた場合や、分割しない契約がある場合を除き、共同相続人が協議で遺産の全部または一部を分割できると定めています。遺言や契約の有無を確かめてから進めましょう。
民法第907条第1項
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
例えば、長男が家を取得し、次男が預金を取得するなど、財産ごとの分け方を書きます。法定相続分と違う分け方を選ぶ場合もあります。どの分け方にするかと、それを正確に書く作業は分けて考えましょう。
相続人が遠方に住んでいても、一堂に集まることだけを前提にする必要はありません。ただし、全員が対象財産と分け方を理解し、同じ内容に同意していることが必要です。連絡役が内容をまとめても、その人だけで決めることはできません。
分割が終わるまで、相続人が複数いる相続財産は原則として共同相続人の共有に属します。民法第898条第1項は、そのことを定めています。
民法第898条第1項
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
遺言がある場合は、協議書を作る必要があるかどうかから確認します。有効な遺言によって財産の取得者が定まっていれば、その財産の協議が不要な場合があります。遺言を見ずに、遺言なしの手順を始めないようにしましょう。
参考:岡山家庭裁判所「遺産分割手続について」遺言・協議の確認
| 書類 | 主な役割 | その書類だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 遺産分割協議書 | 相続人が合意した財産の分け方を示す | 相続人に漏れがないか、記載外の財産があるか |
| 戸籍一式 | 亡くなった方と相続人の関係を確認する | どの相続人がどの財産を取得するか |
| 法定相続情報一覧図の写し | 戸籍に基づく相続関係を証明する | 遺産分割の結果や相続放棄の有無 |
| 遺言書 | 亡くなった方が定めた財産の承継内容を示す | 種類に応じた手続きや、個別の効力の判断 |
どの書類をそろえるかは、手続きの根拠で変わります。遺言の種類を整理したい方は、自筆証書遺言と公正証書遺言の違いも確認してください。書面名が似ていても、役割は同じではありません。
2. 作成前に、相続人・遺言・財産を確認する
この章でわかること 協議に参加する人と、分ける対象を先に確かめます。
相続人は家族の記憶だけで決めない
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを集め、相続人の範囲を確認します。最後の戸籍に載っている家族だけが相続人とは限りません。前の婚姻で生まれた子などが確認できることもあります。
相続人の一人が既に亡くなっている場合は、死亡の時期に注意します。親より先か後かで、関係する相続の整理が変わります。戸籍を見ても参加者を決められないときは、書面作成より先に相談してください。
相続放棄をした人がいる場合は、家庭裁判所の手続きによるものか確認します。財産を受け取らないという家族間の約束と、相続放棄は同じではありません。協議書に取得財産がないと書くだけで、相続放棄にはなりません。
借金が疑われる場合は、分け方を決める前に確認しましょう。相続するかどうかの判断も関わります。亡くなった親の借金を調べる方法と、相続放棄の期間と確認事項を参照してください。
遺言や、既に作った協議書がないか確認する
自宅にある書類、公証役場や法務局に関する案内などを確認します。遺言書が見つかったときは、種類と内容を確かめます。封印されたものを不用意に開けず、必要な手続きを確認してください。
以前、別の不動産について協議書を作っていた場合も、その内容を確認します。残りの財産をどう扱う約束だったかを見るためです。新しく作る協議書が、前の協議書と矛盾しないようにします。
財産一覧を作り、資料の確認状況を記録する
不動産、預貯金、有価証券などを項目ごとに並べます。対象財産の資料があるか、取得者を決めたかも記録します。財産一覧と協議書を並べると、書き漏れを見つけやすくなります。
相続人は、相続開始時から被相続人の財産に属する権利義務を承継します。一身に専属するものは例外です。遺産の一覧では、プラスの財産だけでなく、債務なども確認しましょう。
民法第896条
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
銀行の名前を知っているだけでは、口座を特定したことにはなりません。支店、口座の種類、口座番号を確認します。残高証明書や金融機関からの案内があれば、同じ一覧に整理してください。
不動産は、家一軒という単位で済ませず、土地と建物を分けます。庭や通路、共有の持分、離れた土地も資料に出ていないか確認します。全部調べたつもりでも、手元の一覧と登記記録を照合することが大切です。
遺言、相続人、財産のどれかに未確認の点がある場合は、その部分を分けてメモします。分からない内容をひな形の文章で埋めないでください。相続人・財産の確認からの相談内容もご案内しています。
署名押印までの確認手順
- 相続人・遺言・財産を確認する。 誰が参加し、何を分けるかを資料で確かめます。
- 全員で分け方を合意する。 取得者と対象財産を具体的に決めます。
- 協議書の下書きを作る。 元資料と照合して、不備や記載漏れを確認します。
- 確定稿に署名押印する。 全員が同じ文章を確認してから進めます。
3. 基本の記載事項は、誰の相続で誰が何を取得するか
この章でわかること 文章の形より、人物と財産の特定を優先します。
協議書の書き出しでは、誰が亡くなった相続かを示します。氏名、死亡日、最後の住所などを、戸籍や住所の資料と照合します。似た氏名の家族がいる場合も、資料に戻って確認してください。
次に、相続人が合意した内容を書きます。誰が取得するかを、財産ごとに明確にします。長男、妻などの続柄だけでなく、氏名も記載しましょう。
共同で取得するときは、誰がどの持分を取得するかも確認します。平等に取得するつもりでも、書面から割合を読み取れなければ手続きで確認が必要です。持分を決める前に、将来の管理や売却のことも考えます。
書面の最後には、合意した日付と相続人の住所・氏名などを記載します。手続きで使う署名・押印の条件も確認します。作成者、連絡窓口、財産の取得者は、それぞれ別の立場になり得ます。
記載例は、考え方を確かめるために使う
本文はパソコンで作る方法もあります。法務局には参考となる様式と記載例が公開されています。手書きかどうかだけでなく、内容の特定と提出先の署名押印の条件を確認します。
※以下は、一般的なご相談内容をもとに構成したモデルケースです。実際のお客様の事例ではありません。
父が亡くなり、相続人が配偶者と子二人であると確認された例を考えます。子の一人が土地・建物を取得し、ほかの財産は別の合意で分ける場合です。対象不動産を登記記録と照合して、取得者を記載します。
書き方を考えるための例
被相続人〇〇〇〇の死亡によって開始した相続について、共同相続人は次のとおり合意した。
下記不動産は、相続人〇〇〇〇が取得する。
〔登記記録と照合した土地・建物の表示を記載〕
〔合意日、相続人全員の住所・氏名、署名押印欄〕
この例は完成書式ではありません。遺言の有無、相続人の範囲、共有持分などによって内容が変わります。丸ごと転記して、自分の相続に必要な条項がそろうと考えないでください。
法務局も、相続登記の記載例に協議書の例を掲載しています。遺産の一部である不動産を扱う例など、前提を読んで使います。実際の協議結果に合わせて作ることが必要です。
参考:法務局「登記申請手続のご案内・遺産分割協議編」2026年4月版・29頁の協議書記載例
日付や数量を、雰囲気で埋めない
死亡日と協議の日は違います。日付の欄ごとに、何の日を示すかを確認します。戸籍に記録された死亡日を、葬儀の日や届出の日と取り違えないようにします。
数字は、元資料のどの欄を転記したかが分かるようにしておきます。土地の面積、建物の床面積、持分の分母と分子を見比べます。作成者の思い込みが入るため、別の人が元資料と照合する方法も有効です。
4. 不動産と預金は、資料と照合して具体的に書く
この章でわかること 財産の特定と、実際の払戻し・名義変更をつなげます。
| 財産 | 照合する主な資料 | 不備を減らす確認 |
|---|---|---|
| 土地 | 登記事項証明書 | 所在・地番・地目・地積、亡くなった方の持分 |
| 建物 | 登記事項証明書 | 所在・家屋番号・種類・構造・床面積 |
| 預貯金 | 通帳、残高証明書、金融機関の案内 | 金融機関・支店・種類・口座番号、取得者 |
| 証券など | 口座明細、取引先からの相続案内 | 財産の範囲と、実際に承継する方法 |
不動産は住居表示だけにしない
普段使う住所と、土地の地番は違うことがあります。実家の住所だけを協議書へ書かないでください。登記記録の表示を使い、土地と建物を分けて記載します。
敷地が二つの土地に分かれている場合は、両方を対象にしたか確認します。家の土地だけ記載して、通路の持分を落とすこともあります。財産一覧と一つずつ照合し、対象を明確にしましょう。
亡くなった方が共有持分だけを持っていたときは、その持分について分けます。他の共有者の持分まで取得するような記載にしないようにします。取得する人の持分と、亡くなった方の元の持分を混同しないことが大切です。
預金は、取得者と手続きする人を混同しない
銀行の手続きを代表者に任せることと、その代表者が全額を取得することは違います。誰が受け取り、誰へいくら渡す合意なのかを分けて確認します。協議書の文章と銀行への届出が、同じ内容になるようにします。
複数口座を一人が取得する場合も、対象がどこまでかを確認します。定期預金、普通預金、外貨預金などがあるなら、種類の違いも整理します。金融機関の記載方法に指定があれば、それも確認してください。
残高は、証明書の基準日と実際の払戻日で変わる場合があります。利息や入出金などの扱いが分からないまま、資料の数字だけを転記しないでください。金額や割合で分けるときは、実行できる内容かを窓口にも確認します。
売却代金を分けるときは、単純な名義指定と分ける
家を一人が取得する合意と、売って代金を分ける合意は同じではありません。売却を担当する人、控除する費用、分配する割合などを考えます。登記の名義だけを決めて終わりにしないようにします。
一人が家を取得し、他の相続人へ金銭を支払う方法もあります。支払う金額や時期を具体化し、支払いの見込みも確かめます。税務の判断が関係する場合は、税理士との確認も含めて進めてください。
実家の売却を予定している方は、名義変更と売却の順番も確認してください。協議書の書き方だけで、売却や分配の条件をすべて処理しようとしないことが大切です。
不動産と預金のどこまで書くか迷う段階でも、ご相談いただけます。財産の記載方法について相談を申し込む
5. 全員が同じ内容を確認してから署名押印する
この章でわかること 署名する前に確定稿と提出先の条件をそろえます。
下書きを各相続人へ送り、財産の取得者と内容を確認します。疑問や修正がある場合は、その段階で整理します。全員が同じ確定稿を確認してから署名押印することが大切です。
財産を取得しない相続人も、協議に参加する人です。自分には配分がないから署名しなくてよい、と判断しないでください。参加者に漏れがないかは、戸籍などで確認した相続人一覧と照合します。
相続登記に使う協議書では、相続人全員が実印で押印します。添付する印鑑証明書の範囲は、申請人と申請方法で確認します。書面の合意と、提出先が求める証明方法を分けて考えましょう。
法務局の手続ハンドブックには、登記申請人である相続人を除く人の印鑑証明書を添付する注記があります。自分で申請するときは、自分の立場に合う記載例を確認します。銀行に提出する証明書の範囲は、その銀行の案内で別に確認してください。
参考:法務局「登記申請手続のご案内・遺産分割協議編」2026年4月版・印鑑証明書の注記
印鑑証明書を先に何通も取るより、提出先の条件を確認してから必要数を決めます。相続登記の案内と銀行の案内で、発行時期の扱いが異なる場合があります。金融機関の基準を、すべての提出先へ当てはめないでください。
郵送で回す場合は、版と進行状況を管理する
遠方の相続人へ送るときは、確定稿の作成日や版が分かるようにします。どの人に何通送り、どの原本が戻ったかも記録します。押印待ちの途中で、別の人へ異なる文章を送らないようにします。
複数ページになる場合は、ページのつながりが分かる方法も確認します。契印や綴じ方などは、使う書式と提出先の案内に合わせます。一枚目だけ見ればよいと考えず、財産の一覧を含む全文を確認してもらいます。
相続人の氏名は、印鑑証明書などと照合します。住所に建物名などがある場合も、証明書の記載と比較します。手書きの字を読み取れないときは、作成者の推測で転記し直さないでください。
未成年者や意思確認が難しい人がいる場合
親権を行う親と子の利益が相反する行為では、家庭裁判所に子のための特別代理人の選任を請求する必要があります。例えば親自身も相続人となる遺産分割協議では、具体的な利益相反の有無を確認します。
民法第826条第1項
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
未成年者と特別代理人の手続きで確認します。
内容を理解して合意することが難しい人に、家族が代わって署名することも避けてください。必要な支援制度や代理の権限を確認します。事情に応じた手続きが必要なので、通常のひな形だけで進めないようにします。
6. 作り直しになりやすい不備を、提出前に見直す
この章でわかること 人物・財産・文章の版を、元資料へ戻って確認します。
| 不備の例 | 何を確認するか | 防ぐ方法 |
|---|---|---|
| 相続人を一人落とした | 戸籍による相続人の範囲 | 家族の記憶だけで署名欄を作らない |
| 家の住所だけを書いた | 登記記録の所在・地番・家屋番号 | 土地と建物を資料ごとに照合する |
| 別口座や通路持分が漏れた | 財産一覧と協議対象の範囲 | 一項目ずつ取得者を記録する |
| 取得者と受取窓口が混同された | 最終的に誰が取得する合意か | 手続きを行う人と取得者を分けて確認する |
| 全員が別の版へ押印した | 各原本の全文 | 確定稿を一つにしてから送付する |
後で財産が見つかった場合
遺産の一部について協議する場合もあります。不動産だけを対象にした書面なら、その範囲を明確にします。残りの財産をどう扱うかを整理し、財産全体を調べないまま相続が終わったと考えないようにします。
新たに見つかった財産が、元の協議に含まれているかを確認します。具体的な財産を列挙したのか、その他の財産についても合意したのかで変わります。文章を見ずに、一律に追加協議が必要・不要とは決められません。
当初の協議の対象外なら、その財産について改めて協議することがあります。残りの財産に関する条項があっても、内容と合意の前提を確認します。意味の広い一文を足せば、あらゆる問題が解決するわけではありません。
借金が後から見つかった場合は、プラスの財産と同じように書けば済む問題ではありません。相続人間の負担の合意と、債権者に対する責任を区別します。専門家へ資料を示して確認してください。
押印後に間違いを発見した場合
作成者が一人で本文を差し替えないでください。誤記を直す場合でも、誰がどの内容へ合意していたかを確認します。取得者や財産の範囲を変更するなら、単なる字の訂正とは別です。
既に銀行へ提出した原本があるか、登記申請中かも確認します。新しい協議書を作れば、進行中の手続きが自動で変更されるわけではありません。提出先と進行状況を整理してから対応を決めましょう。
協議後に相続人が亡くなった場合も、自己判断で署名欄だけを変えないようにします。既に成立していた合意と、その後の相続を分けて検討します。複数の相続が重なった資料は、専門家へまとめて示してください。
連絡が取れない人がいる場合は、その人の同意を得たことにして書面を完成させないでください。連絡の取れない相続人がいる場合の手順を確認します。紛争や交渉が必要なときは、弁護士との相談を含めて整理します。
7. 協議書を作った後は、財産ごとの手続きを進める
この章でわかること 合意した内容を、登記や払戻しの結果まで確認します。
協議書ができても、家や土地の登記名義が自動で変わるわけではありません。相続登記の申請書と、必要な添付書類を用意します。提出先は不動産の所在地を管轄する法務局です。
一般的な相続登記では、相続人が作成する協議書の例が案内されています。すべての協議書を公正証書にすることを前提にはしていません。合意の内容と使う手続きに合わせて、必要な証明方法を確認します。
申請期限は、協議書を書き終えたから一律に延びるものではありません。相続で取得した時期や、遺産分割後の義務も確認します。詳しくは相続登記の期限と3年ルールを参照してください。
法務局の申請様式は、申請する日にも注意します。2026年9月26日の確認時点では、10月5日以降用の様式が別に案内されています。国籍等の申出を含め、申請日に合う最新版を確認しましょう。
これは協議書の押印日だけで、すべての書類が決まるという意味ではありません。協議書を作ってから申請まで時間が空く場合は、最新の申請案内を見直します。必要書類の条件が変わっていないかも確かめます。
参考:法務局「不動産登記の申請書様式について」新旧様式の案内
金融機関には、協議書とあわせて所定の相続届などを提出します。複数の銀行で、同じ添付書類と同じ提出方法が使えるとは限りません。返却を希望する原本や、印鑑証明書の条件を確認してください。
原本を一か所へ出したまま、別の手続きが進まなくなることもあります。提出先ごとに、必要書類、原本返却、完了状況を一覧にします。書類の送付記録も残しておくと、確認しやすくなります。
法定相続情報一覧図を利用する場合も、協議書などの追加資料は確認します。一覧図の写しは戸籍に基づく関係を示すもので、取得者の合意まで示すものではありません。必要な役割の資料を省かないようにします。
参考:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」利用先の必要書類
代金の分配や金銭の支払いを合意した場合は、その実行も記録します。いつ、誰へ、いくら振り込んだかを確認できるようにします。協議書、取引明細、支払記録をひとまとめに保管してください。
費用は、協議書の作成だけを頼むか、名義変更や預金の承継まで頼むかで変わります。依頼範囲を明確にして見積りを確認します。相続手続きの支援範囲と、料金の案内をご覧ください。
8. 遺産分割協議書についてよくある質問
この章でわかること ひな形・一部の財産・署名の疑問を整理します。
Q. ひな形を使えば自分で作れますか?
A. 相続関係と合意内容が明確であれば、自分で作成することを検討できます。ただし、ひな形はその事例の前提に合わせたものです。遺言や共有持分、売却代金の分配などが関係するときは、転記だけで進めないでください。
Q. 財産をもらわない人も署名しますか?
A. 協議に参加する相続人であれば、配分がない人も合意を示します。取得財産がないことは、家庭裁判所での相続放棄とは別です。誰が協議に参加するかを先に確認してください。
Q. 全員が同じ場所に集まらないと作れませんか?
A. 郵送などで書面を回す方法もあります。同じ内容に全員が合意していることを確認し、確定稿をそろえてから送ります。版が違う書面や、内容を確認していない人の署名を集めないようにしてください。
Q. 協議書を作れば、不動産の名義も自動で変わりますか?
A. 登記の申請が別に必要です。協議書はその根拠となる書類の一つです。戸籍などの添付資料と申請書をそろえ、法務局に申請して完了を確認します。
Q. 相続人の意見がまとまらない場合も、司法書士に頼めますか?
A. 登記や書類作成の支援と、相続人間の交渉は分けて考えます。交渉や紛争解決が必要な場合は弁護士の担当です。相談時に状況を整理し、必要な担当との連携を検討します。
9. まとめ:署名押印前の確認が、手戻りを減らします
- 協議書を書く前に、相続人、遺言、対象財産を確認します。
- 全員で分け方を決め、不動産と預金を資料に沿って記載します。
- 同じ確定稿を全員で確認してから、署名押印を集めます。
- 完成後は登記や払戻しを進め、書類条件と手続きの結果を確認します。
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